くも膜下出血に合併した心室細動の1症例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
くも膜下出血(SAH)に心室細動の合併した例を報告した.患者は51才の女性で, 1978年2月6日激しい頭痛,悪心,嘔吐とおよそ1分間の意識消失があり,某院に入院した.腰椎穿刺の結果SAHが疑われた.入院8日目に痙〓を伴う意識消失発作が出現し,その後1日3〜4回同様の発作が続いたため,当科に転院した.意識は清明,軽度の項部硬直(+).腱反射に異常なく,病的反射も認めなかつた.運動麻痺や知覚障害もなかつた.軽度のうつ血乳頭を認めた.髄液は黄色調であつた.心電図は著明なQTc延長と巨大陰性T波を示した. CT scanは側脳室の軽度拡大を示した. four vessel studyで,右内頚動脈-後交通動脈の分岐部に嚢状動脈瘤と右内頚動脈終末部から中大脳動脈の3分岐部までに亘り,著明な動脈痙〓を認めた. 2月18日痙〓を伴う意識消失発作が起こつた.心電図は心室細動を示した.直ちに心マッサージ,酸素吸入,直流除細動, lidocaine, phenytoin, diazepamが投与され,心室細動は治療された. 4月5日脳外科で動脈瘤に対しclippingが行なわれた.術後経過よく, 5月13日に退院した. 5月12日の心電図ではまだQTの延長があつた. SAHの死因として,直接の脳病変によるものだけでなく,本例の如く同時に併発した心室細動による場合も示唆された.心電図上QTの延長している場合,心室細動が併発し易くなることを文献的に考案し, lidocaineなどの抗不整脈薬の使用が有用であると論じた.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
関連論文
- ドパストンSE : L-Dopaとの比較
- 特発性起立性低血圧の1症例特に循環動態,神経薬物的および生化学的検討
- くも膜下出血に合併した心室細動の1症例
- 誘発脳波の臨床的研究
- うつ血型心筋症,末梢神経障害,頭部CT異常,難聴,失調性歩行,眼筋麻痺などの多彩な症状を呈したoculocraniosomaticneuromusculardiseasewithraggedredfibers(acsNM)の1症例
- 重症筋無力症に全身性紅斑性狼瘡と潜在性副甲状腺機能低下症が合併した1症例
- 著明な骨変化を伴う偽性副甲状腺機能低下症II型に抗てんかん薬による甲状腺機能低下症が合併した1症例
- 難聴を伴う遺伝性腎炎(Alport症候群)の1家系
- 皮膚色素沈着,剛毛,浮腫,うつ血乳頭を合併した多発性ニューロパチー : 一般生化学的,内分泌学的,免疫学的および末梢神経の組織学的検討
- 色素沈着・剛毛・浮腫・入型IgAの増量を呈した多発性神経炎の1症例における内分泌機能異常