皮膚色素沈着,剛毛,浮腫,うつ血乳頭を合併した多発性ニューロパチー : 一般生化学的,内分泌学的,免疫学的および末梢神経の組織学的検討
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概要
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本症2例に共通して血清総蛋白量(TP), GOT, GPT, LDH, CPK,血清choline esterase,総cholesterolなどの低下が見られ,これらの低下が本症診断に補助的に役立つ可能性を指摘した.なお本症においてTP, GOT, GPT, LDH, CPKなどの低下を強調した報告は今迄に私共の知る限りない内分泌学的にはrT3の増加が2例に認められた.この意義は不明であるが,本症が重症消耗性疾患であることを示唆した.この異常は今迄に記載がなく,さらに症例の積み重ねが必要である.尿中17KSの低下,血漿ACTHの高値,その他のSteroid hormoneの低下が症例1にあり,潜在性副腎皮質不全の存在が示唆された.やはり今迄にはつきりと副腎不全を報告した例は私共の知る限りない.また症例1にはT3, T4の低下とTRHに対するTSHの過反応がみられ,原発性甲状腺機能低下症の存在が示唆された.従来いわれている女性ホルモンの尿中排泄増加がみられた(両例). LHRHにLH, FSHとも過反応がみられた. PRLもTRHに過反応を示した(両例).耐糖能障害(ΔIRI/ΔBS (30分)の低下, IRIのピーク値の遅延)が認められた.インスリン分泌は正常範囲に在つた.抗核抗体が疑陽性(2例)で,補体の低下,抗reticulin抗体,抗骨格筋抗体の陽性(1例)があつた.腓腹神経生検では,主として節性脱髄(症例1)と軸索変性(症例2)がみられた.この相異は病因の差ではなく,節性脱髄が主因(軸索変性はWaller変性)であろうと推定した.
著者
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熊倉 久夫
群馬大学医学部第2内科
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吉田 忠義
群馬大学医学部第2内科
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菅野 仁平
群馬大学医学部第2内科
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安里 洋
群馬大学医学部第2内科
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熊倉 久夫
群馬大学医学部第工内科
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吉田 忠義
群馬大学医学部第工内科
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荒井 哲也
群馬大学医学部第工内科
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安里 洋
群馬大学医学部第工内科
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菅野 仁平
群馬大学医学部第工内科
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