著明な骨変化を伴う偽性副甲状腺機能低下症II型に抗てんかん薬による甲状腺機能低下症が合併した1症例
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概要
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低カルシウム血症,高燐血症を呈した35才男性に, Ellsworth-Howard試験を行ない, Dreznerら1)の提唱した偽性副甲状腺機能低下症II型(PHPII型)と診断し得た症例を報告する.本例には次のような特徴があつた. (1)意識消失を伴う痙攣発作-てんかんが起きたが, PHPII型で意識消失発作が起こることは希といわれている. (2) Albrights osteodystrophyの身体的特徴が比較的軽微であり, PHPにみられる他の臨床症状,徴候も比較的少なかつた. (3)下肢の浮腫が入院の契機となり,本症診断の糸口となつた.浮腫はT3, T4などの甲状腺機能検査から,甲状腺機能低下症が存在することが判明し,このために起こつたと考えられた.さらに抗てんかん薬(ジフェニールヒダントイン,カルマバゼピン)がT3, T4の低下をもたらしたと推測された. (4) Ellsworth-Howard試験で尿中cAMPの増量があつたが,尿中燐の排泄増加はなかつた.これによりDreznerらのPHPII型と診断した. (5)骨にX線像上著明な変形があり,抗てんかん薬による骨軟化症とPHPII型がその原因と考えられた. (6)血清25(OH)D3, 1-25(OH)2D3の低下があつたが,前者は抗てんかん薬による影響と,後者はPHPII型との関連が考えられた.
- 社団法人 日本内科学会の論文
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