糞線虫過剰感染症候群を合併した全身性皮膚硬化症(PSS)と多発性筋炎(PM)のoverlap症候群の1例
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概要
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全身性皮膚硬化症(PSS)と多発性筋炎(PM)のoverlap症候群に糞線虫過剰感染症候群を合併した症例を報告する.症例は68歳男性で,昭和53年ころより全身の筋力低下,レイノー現症が出現,昭和57年ころより37〜38°Cの発熱,皮膚に落屑を伴う紅斑が出現.昭和62年3月,当院皮膚科にて紅皮症と診断されprednisolone(5mg/day)の投与を受けていたが,同年12月全身倦怠感が増悪し当科に入院.入院時,全身の皮膚硬化・色素沈着・筋肉の萎縮・筋力低下が著明で,末梢血に著明な好酸球増加を認めた.また,筋原性酵素の上昇,抗核抗体強陽性,著明な高IgE血症を認め,皮膚および筋生検より多発性筋炎(PM)と全身性皮膚硬化症(PSS)のoverlap症候群と診断された. prednisoloneを60mg/dayに増量し治療を開始したが,腹痛,下痢・咳・血痰などの症状が出現した後,急激に貧血,意識レベルの低下をきたし死亡した.剖検にて,全腸管にびらん・潰瘍・多量の出血を認め,粘膜内にF型糞線虫の幼虫を多数認めた.肺は左右ともにびまん性の大出血を認め,肺胞内にも糞線虫の虫体を多数認めた.肝臓,膵臓,腸間膜リンパ節などにも多数の糞線虫を認め,糞線虫過剰感染症候群と診断された.近年,免疫能の低下した症例に日和見感染症として糞線虫過剰感染症候群が合併することが注目されているが,膠原病の治療中に糞線虫過剰感染症候群を合併したとの報告はきわめてまれであり,今後このような症例に十分留意する必要がある.
著者
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遠城寺 宗知
九州大学第2病理
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杉本 卓矢
九州大学第2病理
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土屋 喜裕
北九州市立門司病院内科
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大久保 英雄
北九州市立門司病院
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衛籐 孝
北九州市立門司病院内科
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中村 稔
北九州市立門司病院内科
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木下 勝
北九州市立門司病院内科
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野中 久代
北九州市立門司病院内科
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大島 道雄
北九州市立門司病院内科
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大久保 英雄
北九州市立医療センター
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