胃冠静脈瘤を伴った先天性肝線維症の1例
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概要
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画像診断と腹腔鏡下肝生検によって,先天性肝線維症と診断された1症例を報告する.症例は36歳女性,前胸部痛を訴えて来院,胸部X線像で心陰影に重なり,下行大動脈に隣接した腫瘤状陰影を認めた.画像診断によってこの後縦隔腫瘤は奇静脈に注ぐ巨大な胃冠静脈瘤と診断されたが,これとは別に興味ある肝病変が発見された.即ち,超音波像で巨大な脾腫と門脈系の拡張がみられ,肝実質はモザイク状を呈し,門脈圧亢進とびまん性肝癌も疑われた.血管造影では巨脾,拡張した門脈系と脾動脈,枯れ枝状の肝動脈などから門脈圧亢進症が推定された.腹腔鏡では,肝表面はアミロイド肝の割面に似た霜降り肉状を呈し,組織像は正常配列した肝小葉,門脈域の成熟した線維化,増殖した小葉間胆管,炎症細胞浸潤なし等の所見であった.以上の成績から本症例は先天性肝線維症と診断された.
著者
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崎野 郁夫
済生会八幡総合病院放射線科
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土屋 喜裕
北九州市立門司病院内科
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三木 幸一郎
北九州市立医療センター
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大久保 英雄
北九州市立門司病院
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黒川 聡
新中間病院内科
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樋口 宣明
新中間病院内科
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大久保 英雄
北九州市立医療センター
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