自己抗体陽性で吸収不全症候群を呈した1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
50歳の女性に何ら誘因なく食欲不振,泥状便などの消化器症状と,低アルブミン血症,低K血症に基づく胸・腹水貯溜,筋障害などの臨床症状が出現した.画像上は食道,胃,小腸の高度の浮腫がみられ,機能的には吸収障害が証明され,免疫学的には抗核抗体,抗DNA抗体が陽性であった. SLEやPSSに吸収不全症状を伴うことは報告されているが,本症例の臨床像からはSLEあるいはclassicalな膠原病とは考え難い.しかし,高γ-グロブリン血症も伴っており, steroidが著効を呈したことから,消化管の浮腫をきたした病態には自己免疫的な機序の関与が推定される.なお,骨髄吸引標本中に, γ-グロブリンの産生亢進を示唆する空胞を有する形質細胞と,吸収不全による脂質代謝障害を示すと思われるsea-blue histiocyteがみられた.
著者
関連論文
- Procainamideおよびquinidineの長期投与後に発症したSLE様症候群の1例
- 胃冠静脈瘤を伴った先天性肝線維症の1例
- 脾腎静脈短絡による肝性脳症を繰り返した nodular regenerative hyperplasia(NRH)の1剖検例
- 糞線虫過剰感染症候群を合併した全身性皮膚硬化症(PSS)と多発性筋炎(PM)のoverlap症候群の1例
- 自己抗体陽性で吸収不全症候群を呈した1例
- 選択的IgM欠損症10例における細胞レベルの病態解析
- A case of granulomatous hepatitis caused by BCG immunotherapy.
- A case of acute hepato-renal damage caused by lacquer thinner sniffing.