CaイオノホアA23187によるウシ体外受精由来胚からの内部細胞塊の分離
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概要
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ウシ胚盤胞の内部細胞塊(ICM)を分離することを目的として,ウシ体外受精由来胚におけるCaイオノホアの影響を処理時間とその濃度について検討した.<BR>ウシ卵巣より卵胞卵子を吸引採取し,常法の体外成熟,体外受精および体外培養をおこない,7または10日目の胚盤胞を実験に供した.処理時間は10~30分間および40~60分間とし,Caイオノホア濃度はそれぞれに20μM,100μMおよび200μMの3つの区を設けた.7日目胚盤胞においては200μMで処理したところ,10分経過した時,実施した全ての胚盤胞でICMの崩壊がみられたので200μM区を中止した.7日目胚盤胞を用いた場合,10~30分間•20μM処理区においてその他の区に比べ有意に高いICMの分離率(81.8%)が得られた(P<0.05).一方,10日目胚盤胞におけるICM分離率は40~60分間•100μMおよび200μM処理区において有意に高いICM分離率(80.0%および9t2%)が得られた(P<0.05).また,7日目胚盤胞および10日目胚盤胞においてそれぞれ分離率の有意に高かった3つの区においてその細胞数を調べたところ,7日目胚盤胞の10~30分間•20μM処理区において有意に多い細胞数が得られた(P<0.05).<BR>以上の結果よりウシ胚のICMはCaイオノボアにより分離することが可能であるが,その処理条件は胚齢により異なることが示唆された.
- 日本繁殖生物学会の論文
著者
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小西 正人
全農飼料畜産中央研究所牛ETグループ
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板倉 はつえ
全農飼料畜産中央研究所受精卵移植研究室
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武富 敏郎
全農飼料畜産中央研究所
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青柳 敬人
全農飼料畜産中央研究所
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和田 貴子
全農飼料畜産中央研究所
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板倉 はつえ
全農飼料畜産中央研究所
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小西 正人
全農飼料畜産中央研究所
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