ウシ体外受精由来胚の胚盤胞への発育に関する合成培地の検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ウシ核移植による再構築胚の発育効率を改善することを目的として,TCM-199およびCRlaaの2種類の培地を用い,媒精後1日目の卵丘細胞を除去したウシ体外受精由来胚の胚盤胞への発育率を比較検討した.<BR>卵巣より卵胞卵子を吸引採取し,常法の体外成熟ならびに体外受精を行った.0.1%ヒアルロニダーゼPBS(一)溶液で媒精後14~16時間目に卵丘細胞を除去し,CRlaaおよびTCM-1 99培地を,血清と卵管上皮細胞の有無により,6区に分けて媒精後8日目まで培養した.各区の構成はCRlaaおよびTCM-199培地ともに血清無添加の区,5%子牛血清を添加する区,5%子牛血清およびウシ卵管上皮細胞を添加する区の3つの区とした.7日目の胚盤胞率とその形態的評価,8日目の拡張胚盤胞率を各区間で比較検討した.胚盤胞への発育率はCRlaaの血清添加区と血清および卵管上皮細胞添加区が,それぞれ24.1%および22.1%で他区に比べて有意に高い値を示した(P<0.05).拡張胚盤胞への発育率および胚盤胞の形態的評価についても同様の傾向が認められた.また,胚盤胞率の高かったCRlaaの血清添加区と血清および卵管上皮細胞添加区での平均細胞数はそれぞれ100.1±27.7個および97.2±31.4個であり有意な差は認められなかった.<BR>以上の結果より,CRlaaはウシ胚の胚盤胞への発育に対して,血清成分を必要とすることならびに血清添加すれば,卵管上皮細胞と共培養した場合と比べて差のない発育効果のあることが明らかになった.
- 日本繁殖生物学会の論文
著者
-
小西 正人
全国農業協同組合連合会受精卵移植センター
-
青柳 敬人
全農飼料畜産中央研究所ETセンター
-
小西 正人
全農飼料畜産中央研究所牛ETグループ
-
小西 正人
Ja全農etセンター
-
青柳 敬人
全農飼料畜産中央研究所
-
小西 正人
全農飼料畜産中央研究所
関連論文
- インヒビンの能動免疫がウシの性腺刺激ホルモン分泌及び卵胞発育に及ぼす影響
- 植氷までの時間と脱グリセリン温度がウシ凍結胚の生存および受胎に及ぼす影響
- ウシの過剰排卵処置におけるPMSGとFSHの比較,とくに血漿ステロイドホルモンの動態と胚回収成績について
- ウシ体細胞を用いた遺伝子ターゲティングとノックアウトウシ作製
- 異種抗原を完全に除去したウシの作製(第105回日本外科学会定期学術集会)
- ウシ体細胞を用いた遺伝子ターゲティングの試み
- ウシ胚性幹細胞様細胞を核体とした核移植に関する検討
- ウシ胎仔線維芽細胞を核体とした除核成熟卵子との電気融合率に関する検討
- ヒトリンパ球のウシリンパ球に対する免疫学的反応性に関する研究
- ウシα1-3 galactosyltransferaseのCOS-7細胞への導入
- ウシ胎児線維芽細胞におけるαGal抗原に関する検討
- O-305 和牛α1-3Galactosyltransferase (α1-3GT) c-DNAの異種細胞(COS7)に対する導入 : α1-3GTノックアウトウシの作製
- ウシ初期胚からクローンを作る (特集 クローン動物--その意義と展望)
- 未経産牛における発情行動の強度および持続時間と受胎率との関係
- 黄体ホルモン徐放剤を用いたウシ過剰排卵方法の改良
- 核移植によるクローン牛の作出について
- 経膣採卵技術の現場への普及にむけて
- 超音波診断装置を用いた経膣採卵による個体別ウシ受精胚の作出, 移植および受胎率
- 経膣法による卵胞卵子採取および体外受精卵の作出技術の臨床応用
- 黒毛和種ダイレクト凍結胚の移植実証試験
- 核移植由来黒毛和種牛におけるマイクロサテライトDNA多型領域の解析
- 発情周期5日目における受胎率向上に資するホルモン製剤の投与試験(コスト低減課題)
- 供試するウシ胚の違いが胚性幹細胞様コロニー形成に及ぼす影響について
- 黄体ホルモン製剤併用投与による受胎率向上の試み(コスト低減課題)
- 発情周期5日目のhCGあるいはGhRH製剤投与が胚移植後の受胎率におよぼす影響
- ウシ遺伝子機能解明に向けた特定遺伝子ヘテロノックアウト胎仔回収の試み(増殖技術基礎開発課題)
- 特定細胞周期の体細胞を用いたクローン産仔生産(増殖技術基礎開発課題)
- ウシ体外成熟卵子の人為的活性化処理による胚盤胞への発育に関する研究--直流パルス,Caイオノホアおよびサイクロヘキシマイドを用いた複合活性処理について
- ウシ体外受精由来胚の胚盤胞への発育に関する合成培地の検討
- ウシ体外受精卵の胚盤胞への発生に及ぼす卵丘細胞との共培養における合成培地へのグルコ-ス添加の影響
- ウシ胚由来培養細胞を核体とした核移植に関する検討
- Subjecting Holstein Heifers to Stress During the Follicular Phase Following Superovulatory Treatment May Increase the Female Sex Ratio of Embryos
- Relationships among Estrous Behavior, Superovulatory Response and Grade 1 Embryo Sex Ratio in Superovulated Holstein Heifers
- ウシ初期胚の核移植 : レシピエント細胞の除核操作後の核の有無が核移植由来胚の発育に及ぼす影響について
- Active Immunization against Inhibin Improves Superovulatory Response to Exogenous FSH in Cattle
- 供試するウシ胚の違いが胚性幹細胞様コロニー形成に及ぼす影響について
- Early Morphological Nuclear Events and Developmental Capacity of Embryos Reconstructed with Fetal Fibroblasts at the M or G1 Phase after Intracytoplasmic Nuclear Injection in Cattle
- ウシ体外受精卵の胚盤胞への発生に及ぼす卵丘細胞との共培養における合成培地へのグルコース添加の影響
- ウシ体外成熟卵子の人為的活性化処理による胚盤胞への発育に関する研究 : 直流パルス,Caイオノホアおよびサイクロヘキシマイドを用いた複合活性処理について
- ウシ体外受精由来胚の胚盤胞への発育に関する合成培地の検討
- ウシ胚由来培養細胞を核体とした核移植に関する検討
- CaイオノホアA23187によるウシ体外受精由来胚からの内部細胞塊の分離
- ウシ初期胚の核移植 : ドナー細胞の由来の違いがウシ核移植由来胚の発育率ならびに受胎率におよぼす影響について
- Regulation of Trophoblast-Specific Factors by GATA2 and GATA3 in Bovine Trophoblast CT-1 Cells