ラットβ;-Endorphinの特異的定量 : ―HPLCによる分離とRIAとの併用―
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概要
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HPLCとRIAの併用による,ラットβ-endorphin(β-E)の特異的定量を試みた.1)合成ラクダβ-E(cβ-E)を抗原とした家兎抗血清を新たに作製し,最終希釈1万倍でRIAが可能であった.cβ-E 0.1〜2.0ngで定量性が得られ,Met-Enk,Leu-Enk,α-MSHおよびα-endorphinとの交叉反応は認められなかったが,ACTHとは2%,ヒトβ-Eとは100%の交叉反応を示した.2)μ-Bondapak Pkenylカラムを用いた逆相分配系のHPLCにより,Met-Enk,Leu-Enk,α-MSH,ACTH,cβ-Eおよびヒトβ-Eは互いに分離された.UV254nmによる検出ではcβ-E(1〜10μg)の注入量とピークの高さまたは面積との間には直線的な相関が得られ,最小検出感度は1μgであった.3)標準cβ-Eまたは下垂体(Pit),視床下部(Hyp),脳脊髄液(CSF)および血漿の抽出試料をHPLCに注入後,流出液を分取して凍結乾燥し,RIAによって各分取画分中のβ-E様免疫活性(β-ELIR)を測定した.標準cβ-EではUVによる検出ピークと一致した分画(cβ-E分画)に単一のβ-ELIRピークが認められ,2分間のcβ-E分画中に注入量(1〜100ng)の80%が検出された.Pit,Hyp,CSFおよび血漿のHPLCによるβ-ELIRクロマトグラムにはそれぞれ3,3,2および1個のピークが認められ,いずれの試料においてもその内の1個はcβ-E分画と一致した.PitのHPLCによる生物活性のクロマトグラムには2個のピークが認められ,cβ-E分画においてのみβ-ELIRピークと生物活性ピークが一致した.種々の生体試料中β-E含量については,いずれの試料においてもHPLCによるcβ-E分画中のβEHR(rβ-ELIR)は,RIA単独による総β-ELIRより低く,rβ-ELIRと総β-ELIRの比は臓器によって異なった.4)ゲルクロマトグラフィー存こよるcβ-E分画は,HPLCによってさらに3個のピークに分離され,その内の1個がcβ-Eと一致した.以上の結果から,HPLCによるcβ-E分画の分取と,この分画中のRIAによるβ-Eの定量との併用によって,特異的にラットβ-Eが定量されることを明らかにした.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
-
山本 博之
和歌山県立医科大学
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岸岡 史郎
和歌山県立医大薬理学教室
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井口 賀之
和歌山県医大
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尾崎 昌宣
和歌山県立医科大学薬理学教室
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井口 賀之
和歌山県立医科大学薬理学教室
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田村 定子
和歌山県立医科大学薬理学教室
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徳田 寛
和歌山県立医科大学薬理学教室
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