β-(p-Chloropheny1)-GABA(baclofen)の侵害刺激反応に対する影響
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概要
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筋弛緩作用を有するβ-(p-chlorophenyl)-GABA(baclofen)の侵害刺激反応に対する影響について,マウスおよびラットを用い,種々の試験法に従って,mephenesinとの比較検討を行なった.マウスを用いた実験において,tai1-pinch法,熱板法および酢酸writhing法でbaclofenのi.p.投与は,斉しく,dose-dependentな抗侵害刺激作用を示し,その有効量はそれぞれ10,5〜10および3mg/kgであった.一方baclofen 10mg/kg i.p.では著明な筋弛緩作用が出現し,しかもbaclofenの抗侵害刺激および筋弛緩両作用の発現と経過はほぽ一致した.筋弛緩剤であるmephensinもtail-pinch法で反応時間を延長したが,mephenesinの本作用も筋弛緩作用量で始めて認められ,且つbaclofenにおけると同様にこれら二作用の発現と経過はほぼ一致した.唯酢酸writhing法では,筋弛緩作用量より少量のbaclofen 3mg/kg i.p.でwrithingを抑制した.しかしながらmephenesinによってもその筋弛緩作用量より少量の50mg/kg i.p.でwrithingの抑制が認められた.ラットにおける実験においても,baclofen 5〜20mg/kg i.p.はRandall-Selitto法およびbradykinin動注法で,dose-dependentな抗侵害刺激作用を示した.しかしながらbaclofen 5〜10mg/kg i.p.では筋弛緩もまた明らかとなり,これら両作用の発現と経過はほぼ一致した.MephenesinもRandall-Selitto法で反応闘値を上昇したが,本作用は筋弛緩作用量で始めて出現し,しかもこれら両作用の発現と経過は,baclofenにおけると同様}こほぼ一致した.Morphineの抗侵害刺激作用に対して,baclofenの少量は,マウス,ラット共にこれを抑制したが,大量のbaclofenはmorphine作用を増強(ラット)または影響を与えず(マウス),baclofenのmorphine作用に対する影響は二相性を示した.以上の成績に考察を加え,baclofenの抗侵害刺激作用は,鎮痛作用に関係のない,非特異的なものであろうと考えた.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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