Morphine依存ラットの視床下部-下垂体-副腎系機能について
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概要
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投与期間を10日間とし,投与量は漸増法に従いmorphine(Morph)依存ラットを作成した.Morph投与間隔を6時間としたものをMorph依存状態とし,この時の視床下部-下垂体-副腎(HPA)系機能を検討した.ラットの体重は朝に高く,夕方に低い日内変動を示したが,Morph依存状態においても同様の日内変動が認められた.ラットの体温は3時に高く,9〜15時に低い日内変動を示したが,Morph依存状態では体温の日内変動は認められず,Morph依存ラットの体温は終日一定値を示した.ラットの血漿corticosterone値は9時に低く,21時に高い日内変動を示し,Morph依存状態でも同様の日内変動が認められた.しかし,Morph依存状態ではpentobarbital麻酔(80mg/kg i.p. 45分間)によって血漿corticosterone値の日内変動は消失し,15および21時の血漿corticosterone値は低値を示した.Formalin stressに対するhypothalamo-pituitary-adrenal(HPA)系の反応性はMorph依存ラットがnaiveラットよりも大であった.HPA系のformalin stress反応に対するdexamethasone(Dex)抑制作用は,naiveラットではDex 0.1mg/kg s.c.によってほぼ完全な抑制作用が認められたが,Morph依存ラットではDex 4mg/kg s.c.によってはじめて有意の抑制が認められ,10mg/kg s.c.の大量によっても完全抑制には至らなかった.ACTHに対する副腎の反応性(in vivo,in vitro)に日内変動は認められず,また対照およびMorph依存群の各時刻における反応性に有意差は認められなかった.今回明らかにされたMorph依存状態におけるHPA系機能の変化は,Morph依存形成におけるHPA系の関与を示唆するものであると考えられる.
- 社団法人 日本薬理学会の論文