Formalin起炎によるMinor tremorを指標とする疼痛反応と鎮痛活性評価法
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概要
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持続性疼痛反応を誘起すると言われるホルマリンを刺激源として,その1%溶液0.1mlをモルモット背側皮下に注入して起るminor tremor pain response(MTP反応)を測定した.formalin注入によって,直後より強いMTP反応が出現した(即時型)が,1〜2分後には,一旦急速に消失した後,5分頃より再び持続性のゆるやかな,30分後をピークとするMTP反応が出現し(遅延型),2相性の疼痛パタンが得られた.morphine,6mg/kgは即時,遅延両相を完全に抑制した.しかしlevallorphanによる拮抗は,即時相においてのみ起り,遅延相では全く出現しなかった.aspirin,aminopyrine,pentazocineも両相を有意に抑制したが,pyridinol carbamate,hydrocortisoneは遅延相のみを有意に抑制するものの,即時相では全く抑制しなかった.また遅延相におけるピークとformalinによる末梢血管透過性のピークとが一致することから,遅延相を炎症由来の疼痛,また即時相を神経性疼痛反応と仮定し,古くから皮膚疼痛の特徴としてあげられている,一次痛(即時痛),二次痛(遅延痛)との関連について考察し,本法は臨床により近い疼痛モデルとして,客観的且つ定量的に把握出来る利点をもつ鎮痛活性評価法と考えられる.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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高橋 宏
福岡歯科大学歯科薬理学講座
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大久保 つや子
福岡歯科大学薬理学講座
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柴田 学
福岡歯科大学薬理学講座
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柴田 学
福岡歯科大学歯科薬理学講座
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大久保 つや子
福岡歯科大学・薬理学
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柴田 学
福岡歯科大学・薬理学
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成瀬 悟
福岡歯科大学薬理学教室
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高橋 宏
福岡歯科大学歯科薬理学教室
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大久保 つや子
福岡歯科大学薬理学教室
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