実験的肝障害に対するチオール化合物の影響(第2報) : Ethionine肝障害に対するTiopronin(2-mercaptopropionylglycine)およびGlutathioneの予防および治療効果
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概要
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ethionine(Eth)肝障害に対するtiopronin(2-mercaptopropionylglycine)およびglutathioneの予防および治療効果を検討した.1g/kgのEthをラットに投与すると摂食状態によって肝障害度にかなりの差がみられ,障害度が最も強く出現する条件を選んで実験を行った.予防実験ではEth投与により,血清transaminase活性は著しく上昇したが,Eth投与10分前にtiopronin,glutathioneを投与すると,この上昇は抑制された.肝の非たんぱく性チオール(NPSH)量はEth投与後16時間まで,正常群の40〜60%減少していたが,24時間以降は逆に30〜45%増加していた.tiopronin投与はEth投与による初期の肝NPSH量の減少を抑えるが,glutathioneは抑えなかった.肝cholesterol量および肝triglyceride量はEth投与により共に増加したが,これらの増加した脂質はtiopronin,glutathioneの投与により抑制され,とくにtioproninの投与によりtriglycerideの増加は強く抑制された.Eth投与16時間後に薬物を投与する治療実験ではEthによる血清transaminase活性の最高上昇値をtioproninは抑制した.しかし,肝NPSH量,肝脂質量に影響しなかった.以上の予防および治療実験の結果から,Eth投与によって起こる肝障害に対してtiopronin,glutathioneは,肝障害抑制作用を有することが分かり,これらチオール化合物の作用機序について論じた
- 社団法人 日本薬理学会の論文
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