実験的肝障害に対するチオール化合物の影響 : 第1報 四塩化炭素肝障害に対するTiopronin(2-Mercabtopropionylglycine)の障害抑制作用
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
四塩化炭素(CCl<SUB>4</SUB>)の腹腔内投与によって生じる急性CC<SUB>4</SUB>肝障害に対し,tiopronin(2-mercaptopropionylglycine)を経口投与してその影響を検討した.tioproninは生化学的にはCCl<SUB>4</SUB>による血清transaminase活性の上昇, 肝triglycerideの蓄積, 肝glucose-6-phosphatase活性の低下を抑制した.また,CCl<SUB>4</SUB>投与24時間後に肝の非たんぱく性チオール(NPSH)量の著しい減少をひきおこしたが, これは肝の非たんぱく性ジスルフィド量の増加をともなうものではなかった.tioproninはこのCCl<SUB>4</SUB>による肝NPSH量の減少を抑制したが,正常ラットにtioproninを投与しても, 投与24時間後の肝NPSH量に変動はみられなかった.また, これら生化学的所見と一致して,tioproninは組織学的にもCCl<SUB>4</SUB>による壊死, 糖原の減少などを抑制することが認められた.tiopronin以外の化合物としてcystamine,cysteine,glutathioneもtioproninと同様にCCl<SUB>4</SUB>肝障害に対し抑制作用のあることが認められた.また, これら化合物の障害抑制作用の程度は血清transaminase活性や組織学的所見のみならず,肝NPSH量とも関連することが認められた.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
関連論文
- ジチオール化合物の代謝研究(第1報)ラットにおけるN-(2-Mercapto-2-methylpropanoyl)-L-cysteine(SA96)の血中, 尿中代謝物の単離及び同定
- Synthesis and Aldose Reductase Inhibitory Activity of N-Acylthiazolidinecarboxylic Acids
- Synthesis and Aldose Reductase Inhibitory Activity of Thiazolidinecarboxylic Acids Containing a Disulfide Bond
- Iodoplatinate によるポストカラム配位子交換反応を用いる有機硫黄化合物の高速液体クロマトグラフィー. : アンギオテンシン変換酵素阻害剤(2R, 4R)-2-(o-Hydroxyphenyl)-3-(3-mercaptopropionyl)-4-thiazolidinecarboxylic Acid (SA446) とその尿中代謝物の同時定量への応用(生物学及び生化学)
- ジチオール化合物の代謝研究(第2報)ラット及びイヌにおける血中と尿中のN-(2-Mercapto-2-methylpropanoyl)-L-cysteine(SA96)及び関連代謝物の定量
- (2R, 4R)-2-(2-Hydroxyphenyl)-3-(3-mercaptopropionyl)-4-thiazolidinecarboxylic Acid(SA 446)によるAngiotensin変換酵素阻害作用
- 水晶体の構造特性と薬物反応(第1報)水晶体1価カチオンレベルにおよぼす白内障惹起物質の影響
- シスチンの新しい検出法について(第1報)シスチンの新しい呈色反応とその機構
- チオールおよびジスルフィド化合物の研究(第2報)分子中にアミノ基をもたないチオール化合物の血中レベルの定量法とその種物質の一つとしての2-メルカプトプロピオニルグリシンの吸収, 排泄研究への応用
- 実験的肝障害に対するチオール化合物の影響第4報 : Ethionine肝障害に対するTiopronin,Glutathione およびCysteineの解毒作用
- 実験的肝障害に対するチオール化合物の影響 : 第1報 四塩化炭素肝障害に対するTiopronin(2-Mercabtopropionylglycine)の障害抑制作用
- 実験糖尿病におよぼす含硫化合物の影響(第10報)チオール・ジスルフィド化合物の赤血球移行について
- 実験糖尿病におよぼす含硫化物の影響(第1報) : 血糖下降作用と血液酸可溶性SHおよびS-S基量との関係について
- 実験的肝障害に対するチオール化合物の影響(第3報) : Ethionine肝障害の薬物代謝活性に対するTiopronin (2-mercaptopropionylglycine)およびGlutathioneの作用
- 実験的肝障害に対するチオール化合物の影響(第2報) : Ethionine肝障害に対するTiopronin(2-mercaptopropionylglycine)およびGlutathioneの予防および治療効果
- チオールおよびジスルフィド化合物の研究(第1報)^S-2-メルカプトプロピオニルグリシンの吸収, 分布, 代謝および排泄
- 実験糖尿病におよぼす含硫化合物の影響(第8報)チオール・ジスルフィド水素転移酵素, グルタチオン還元酵素, グルコース-6-リン酸脱水素酵素に対するチオール・ジスルフィド化合物の影響
- 実験糖尿病におよぼす含硫化合物の影響(第7報)ヘキソキナーゼにおよぼすチオールおよびジスルフィド化合物の影響
- 実験糖尿病におよぼす含硫化合物の影響(第6報) : 含硫化合物の血糖下降作用のスクリーニング
- 実験糖尿病におよぼす含硫化合物の影響(第5報) : 膵インシュリンの遊離に対するチオール型およびその酸化型化合物の影響
- 実験糖尿病におよぼす含硫化合物の影響(第4報) : グルタチオン, 2-メルカプトプロピオニルグリシン, システィンおよびその酸化型化合物投与による血漿インシュリン量の変動
- 実験糖尿病におよぼす含硫化合物の影響(第3報) : 糖類の細胞膜通過に対するチオールおよびジスルフィド化合物の影響
- 実験糖尿病におよぼす含硫化合物の影響(第2報)) : インシュリン遊離または作用時の血糖と血液酸可溶性SH, S-S基量変動との関連性