混合培養系におけるルーメン微生物による繊維の消化に及ぼす牧草脂質の影響
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概要
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脂質を抽出除去した後の牧草粉末は,混合ルーメン微生物によるNDFの消化率が著しく高くなり,その脂質を牧草残渣(脂質を除去した牧草粉末)に吸着させて与えた場合には,もとの牧草の場合よりもNDF消化率が低くなった.従って,牧草脂質は繊維分解菌の生育または活性を阻害すると考えられる.牧草脂質は,プロトゾアとバクテリアの生育を抑制し,その抑制はプロトゾア,繊維分解菌,その他の菌の順に大きかった.牧草脂質による阻害は,主としてその主成分である糖脂質とリン脂質によるものと考えられ,これはそれらの水解により遊離された脂肪酸,特に不飽和脂肪酸あるいはその過酸化物によるものと思われた.牧草中には繊維の消化を促進する物質も含まれており,これはβ-カロチンと推定された,β-カロチンは,脂質無添加の場合でも繊維の消化を促進したが,特に脂質による阻害を緩和するという大きな効果を有した.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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