飼料,性別および蓄積部位による豚脂脂肪酸組成の差異

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飼料,性別および蓄積部位のちがいによる豚脂の脂肪酸組成の差異を検討する目的で試験を行なった.第1の試験では中ヨークシャー種,第2の試験ではランドレース×大ヨークシャー×ハンプシャーの三元雑種豚を用い,それぞれ基礎飼料(産肉能力検定用飼料)およびこれに大麦を配合した飼料で自由給餌で飼育した.試験に用いた脂肪は,皮下脂肪組織の外層部と内層部,腎臓および大網膜脂肪組織から,溶出法によって採取した.去勢豚は雌豚よりも,ミリスチン酸,パルミチン酸,パルミトレイン酸およびC16酸がいくらか多く,リノール酸とC18酸が少なかったが,このような性別による差異は,飼料や蓄積部位による差と比べると,比較的小さかった.大麦を給与した豚では,パルミチン酸,パルミトレイン酸とC16酸が,基礎飼料給与のものよりも増加していて,リノール酸とC18酸は減じていた.いずれの試験においても,背部脂肪の内層部は外層部よりも飽和酸が多く,また背部脂肪は腎臓や大網膜脂肪よりも,あきらかに不飽和酸が多かった.皮下脂肪の脂肪酸組成では,屠体部位による差異は,特にあきらかではなかったが,肩や腿の脂肪は背部脂肪よりも,パルミトレイン酸やオレイン酸が多く,ステアリン酸やリノール酸が少なくて,肩の脂肪は他のものに比して一番不飽和酸が多かった.概して,性や飼料による影饗は,背部脂肪,ことにその外層部に起こりやすいように思はれた.また,三元雑種豚の脂肪は,中ヨークシャー種の脂肪よりも,飽和酸が多いと考えられた.

飼料,性別および蓄積部位による豚脂脂肪酸組成の差異

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