産卵鶏の筋肉脂質および腹腔脂肪の脂肪酸ならびにトリグリセリド組成におよぼす給与油脂の影響
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概要
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産卵鶏に油脂(牛脂,ラード,大豆油あるいはココヤシ油)をそれぞれ10%配合した飼料を給与し,30日および50日間飼育した鶏について,それらの胸筋の脂質と腹腔脂肪の脂肪酸ならびにトリグリセリド組成を調べた.牛脂を給与した鶏の筋肉中性脂質や腹腔脂肪は,ラード給与のものに比べC16:1やC18:1が多くてC18:2が少なかった.大豆油給与区は,試験区のうちでC18:2が最も多かった.他方,ココヤシ油給与によって,筋肉中性脂質や腹腔脂肪でC12:0やC14:0が増加をきたし,腹腔脂肪ではC16:0, C18:1およびC18:2の減少を見た.給与油脂による鶏の組織脂質の脂肪酸組成の変化は,筋肉脂質よりも腹腔脂肪において顕著であるが,胸筋のリン脂質分画は,産卵鶏への各試験飼料の給与でも,比較的近似した脂肪酸組成を有していた.筋肉脂質や腹腔脂肪のトリグリセリド内の脂肪酸分布は,膵臓リパーゼ分解法によって調べた,牛脂とラードはトリグリセリド内脂肪酸分布が明らかに異なっているが,ラード給与区の筋肉脂質は,牛脂給与のと類似したトリグリセリド内脂肪酸分布のパターンを有していた.しかし給与する期間が長くなると,ラード給与区の腹腔脂肪では,トリグリセリドの2-位置に結合するC16:0の割合が増加し,C18:1の2-位置に結合する割合は減少する.大豆油給与で,鶏の組織脂質のトリグリセリドでC16:0が少なくなり,C18:2の増加をきたしたが,トリグリセリド内脂肪酸分布では大きな変化は見られなかった.ココヤシ油給与によって,トリグリセリドの2-位置および1,3-位置のいずれにおいても,飽和脂肪酸が顕著に増加するのが認められた.試験した脂質のトリグリセリド組成は,1,3-random-2-random分布によって求めた.ラード給与区は牛脂給与区よりもSSUやUSUのようなトリグリセリドが多かった.大豆油給与区は,各試験区のうちでSUUやUUUが最も多く,これに対してココヤシ油給与区はSSS含量が最も多かった.鶏の組織脂質のおもなトリグリセリド成分はPOO, OOO, PPO, POP, PLO, OPO, OLOやOOLなどと見られた.ラード給与区のは牛脂給与区のに比べてPPO, OPOやOPLのようなトリグリセリドが多かった,大豆油の給与では組織脂質中でPLO, POL, PLL, OOLやOLLの増加をきたし,ココヤシ油の給与によっては, C12:0やC14:0を含むトリグリセリドの増加するのが認められた.
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