うさぎ肉脂質の脂肪酸ならびにトリグリセリド組成
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概要
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5頭のうさぎについて,背部,前肢および後肢の筋肉から抽出した全脂質を.リン脂質,遊離脂肪酸およびトリグリセリド区分に分別し,それぞれの脂質区分の脂肪酸組成をガスクロマトグラフィーによって測定した.ついでトリグリセリド区分については,膵臓リパーゼ分解法によって,トリグリセリド内の脂肪酸分布をしらべ,1,3-random-2-random分布理論にもとづいて,トリグリセリド組成を求めた.全脂質のおもな脂肪酸は,パルミチン酸,オレイン酸,リノール酸およびアラキドン酸であって,背肉は前肢や後肢の肉に比べて全脂質含量が少なく,また飽和脂肪酸が少ない傾向があった.トリグリセリド区分では,パルミチン酸,オレイン酸,リノール酸がおもな組成脂肪酸で,ついでステアリン酸,パルミトレイン酸,ミリスチン酸が含まれていて,飽和脂肪酸が不飽和脂肪酸に比べてやや多かった.なお,全脂質およびトリグリセリド区分では,背肉,前肢および後肢の3部位の間で,脂肪酸組成に差異が認められなかった.遊離脂肪酸区分においても,パルミチン酸,リノール酸,オレイン酸,ステアリン酸,アラキドン酸がおもな脂肪酸であったが,背肉は前肢や後肢肉に比べて,ミリスチン酸,パルミトレイン酸,リノール酸が少なく,ステアリン酸とアラキドン酸が多い傾向が見られた.リン脂質区分はC14やC15酸が少なく,C20およびC22の不飽和酸を多く含み,トリグリセリド区分に比べて,パルミチン酸やオレイン酸が少なく,ステアリン酸,リノール酸ことにアラキドン酸が多かった.また,背肉のリン脂質は,前肢や後肢のに比べて,ステアリン酸とリノール酸が少なく,オレイン酸が多かった.うさぎ肉脂質のトリグリセリドでは,ステアリン酸やリノレン酸は,グリセロールの1と3の位置に多く結合し,一方2の位置には不飽和酸や低分子酸が多く結合していたが,パルミチン酸,オレイン酸およびリノール酸は,トリグリセリド内で均等な分布をしていた.うさぎ肉脂質のトリグリセリド組成は,SSS 14.66%,SUS 15.42%,SSU 24.19%,SUU 25.29%,USU10.16%,UUU 10.53%であった.また,1,2-ジパルミト-3-オレイン,トリパルミチン,1-パルミト-2,3-ジオレイン,1,3-ジパルミト-2-オレイン,1,2-ジパルミト-3-リノレイン,1-パルミト-2-オレオ-3-リノレイン,1,2-ジパルミト-3-ステアリンなどが,うさぎ肉脂質を構成するおもなトリグリセリドであると考えられた.
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