成長にともなう豚肉脂質の脂肪酸ならびにトリグリセリド組成の変化
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概要
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ヨークシャー×ランドレースの雑種で,一腹から性まれた9頭の豚を飼育して,生体重60kg,90kgおよび120kgでそれぞれ3頭ずつを屠殺し,成長にともなう豚肉脂質の脂肪酸ならびにトリグリセリド組成の変化を調べた.棘上筋,背最長筋および大腿二頭筋から抽出した全脂質は,リン脂質と中性脂質の分画に分け,それぞれについて脂肪酸組成を調べた.筋肉部位のちがいによる脂肪酸組成の差異は比較的小さかったが,豚の成長にともなう筋肉脂質の脂肪酸組成の変化では,全脂質と中性脂質の分画では類似の傾向を示して,体重の増加につれてC16:0, C18:1は増加し,C18:2は減少を示し,リン脂質分画では,豚の体重の増加にともなってC18:2は増加しC18:0は減少を見た.背部脂肪組織の外層および内層,ならびに腎臓脂肪組織からの脂肪は,蓄積部位による脂肪酸組成の差異が明らかであったが,豚の成長にともなう脂肪酸組成の変動は,各部位とも類似した傾向を示していた.生体重90kgの豚では他のものに比べてC16:0, C18:0および全飽和酸が多く,C18:2含量は体重の増加にともなって減少する傾向があった.筋肉および脂肪組織からのトリグリセリド中の脂肪酸分布をリパーゼ分解法によって調べた.体重が60kgから90kgに増すと, トリグリセリドでの脂肪酸組成でC14:0, C16:0, C18:0および全飽称酸量が増し,C18:1,C18:2と全不飽和酸は減少した.ついで体重が90kgから120kgに増すとトリグリセリド中でC14:0, C16:0と全飽和酸は減少して,C18:1は増加した.豚の成長によるトリグリセリドの1,3-位置における脂肪酸組成の変動の状態は,さきのトリグリセリドの場合とほぼ類似していた.しかし,トリグリセリドの2-位置での脂肪酸組成では,C14:0,C16:0および全飽和酸は,豚の体重の増加にともなって増加を示し,C18:1, C18:2および全不飽和酸量は減少した.トリグリセリド組成は,1,3-random 2-random分布理論にもとづいて求めたが,SUU, UUUは生体重の増加につれて増加したが,生体重90kgの豚は他のものに比べてSSU, SUSが多く,USU含量が少なかった.なお,おもな成分のトリグリセリドでは,PPSt, POSt, PPOなどは90kgの豚が他のものよりも多く,StPL, OPLなどは,他のものに比べて生体重60kgの豚に多かった.
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