血統分析によるわが国乳牛集団の繁殖構造と近親交配に関する研究 : IV. 主要ブリーダーと府県集団との間の血縁度
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概要
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種畜供給者としての主要ブリーダーの乳牛集団が,種付に関して閉鎖集団とみなされる各道府県の乳牛集団に対して血縁的にどのような関連をもつか調べるため,1950年と1960年について6個の主要ブリーダーと17個の道府県の血統登録牛から標本抽出を行ない,両者間の血縁係数を算出した.前報で得られている道府県集団の血縁度と比較した結果,次のことが判明した.1. 主要ブリーダーと道府県集団との間の血縁度は,道府県間のそれに比べて1950年ではやや高く1960年ではやや低いが,両年とも道府県内のそれらよりも明らかに低い.また,両者間の血縁度に上昇傾向がみられる.2. しかしながら,1950年の主要ブリーダーと1960年の道府県集団との間の血縁度は,両年における両者間のそれらに比べて明らかに高い.つまり,両者間の血縁の生成に,time lagが存在する.また,1950年の道府県集団と1960年の道府県集団の血縁度に比べても明らかに高い.特に,道府県内の値(1.68%)よりも高いことが注目される.これらのことは,主要ブリーダー乳牛集団とわが国一般乳牛集団との間にある種のhierarchyが形成されていることを示唆している.3. 両年とも血縁度と距離との間に有意な相関がみられ,地域的なつながりと思われるものがある.しかし,time lagをおいた場合の血縁との間には相関が消失し,距離による隔離作用のごときものが働いていないことは,道府県集団の間にみられたのと同様である.4. 異なる年度の血縁係数間の相関係数から,道府県集団と主要ブリーダーの間に定常的な関係を回復•保持しようとする傾向がみられ,特定の関係を特に大きくしたり小さくしたりするような動向はみられない.このことは,道府県側からみれば特定の主要ブリーダーに対する結びつきを強めることのない表われと推察されよう.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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