家畜の体感温度に関する研究 : II. 豚の体感温度,特に育成豚の生理反応におよぼす温•湿度の影響
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概要
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中ヨークシャー種,去勢育成豚2頭を用い,環境温度(25〜35°C)の短時間(5時間)および長期間(5〜7日)の感作,飼料摂取および乾球温度(15〜35°C)と湿球温度(12.1〜31.6°C)に対する呼吸数•直腸温および心拍数の反応の性質を検討し,次いで乾•湿球温度の作用割合を求め,育成豚の体感温度の表示を試みた.1) 呼吸数は25°Cでいくぶん増加傾向にあるが,熱性多呼吸は30°C前後の比較的高温域で発現し,その増加率(dR/dT)は大きかった.体温調節反応としての呼吸数の変化は,乾•湿球温度および飼料摂取の条件に対してきわめて調節的な反応を呈するものであったが,呼吸数の経時的変化は大きく,そのため平均呼吸数は数時間にわたる多数回の測定記録から求めるのが適当であると考えた.2) 直腸温の上昇は比較的大きく,呼吸数の変化と同じ傾向の変動を示した.しかし呼吸数が条件感作後1〜2時間で安定した反応を呈するのに反し,直腸温は感作5時間においてもなお上昇反応を示し,短時間に条件に対応した反応を得られないことが明らかになった.3) 心拍数に対するDBTとWBTの明らかな影響は認められなかった.しかし飼料摂取量との関係は明らかであった.4) DBTとWBTの作用割合を呼吸数の変化を判定指標として求めると,0.6 DBT+0.4 WBTとなり,DBTの上昇による作用がWBTに比べ大きいと判断された.このDBT>WBTの関係は育成豚の高温域での体温調節の特徴を端的に表わしているものであり,飼育管理上,充分に考慮されるべきものと考えられた.
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