集約酪農における開放放し飼い方式
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概要
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著者は1963〜1966年にわたり,わが国における開放放し飼い牛舎(以下放飼牛舎と称する)の諸問題を検討する目的で調査ならびに実験を行なった.その概要は第9回国際畜産学会議(エジンバラ市,1966年)で講演したが,ここに報告する.1. 中国地方における放飼牛舎の調査1964〜1966年中国地方の集約酪農場の放飼牛舎を多数調査した.標準型のほか,休息場が給飼場を兼ねる変形(M1)型,休息場を設けない変彩(M2)型があり,これらは,放牧を行なっているG1型,青刈飼料給与を主とし放牧も行なうG2型およびゼロ放牧型のいずれかとそれぞれ結合していた.ゼロ放牧-M1(M2)型が最もふつうの存在であるが,わが国の特に集約的な関東以西では,その飼料の種類,給与方法からみて十分にその存在の理由があると認められた.2. 放飼牛舎における乳牛の生態広島大学付属農場乳牛群についてその季節ごとの行動の変化を,1963〜1965年にわたり,4分間隔24時間連続観察法を用いて試験した.その大要は本誌40巻3号に速報したが,盛夏の採食•反芻時間の著しい減少と休息時間の著しい増加,またその他の季節では余り大きな差異のないことが認められた.このことから,放飼牛舎の乳牛の行動は放牧牛のそれと異なること,気温などの直接的影響があることなどが指摘される.この試験では,角つき順位が乳牛の行動に影響することも明らかにされた.3. 放飼牛舎の構造と機能生態調査の結果,順位の低い牛は年中運動場を利用し,順位の高い牛は夏は運動場を,冬は休息場を利用することがわかった.休息場の必要性を示す反面,暖地では運動場が休息場の機能も有することを示すものである.1965年運動場の面積を縮少して試験した結果は,乳牛群の行動型の根本的変化はないが,採食•反芻時間はやや減少し,休息•遊歩時間はやや増加した.また歩行距離は減少した.4. 放飼牛舎の管理技術と省力管理前記1.の調査結果および別に付属農場放飼牛舎に飼育した前後における成績を比較することから,放飼牛舎では受胎率•分娩間隔の成績が一般に低下することが指摘された.群管理技術における個体管理の方法に改善を要することを示すものであろう.本研究の結果からも,放飼牛舎がつなぎ牛舎より省力的であることが認められたが,なおこれについても論議した.
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