飼料の蛋白含量が去勢牛の咀しゃく行動と消化率に及ぼす影響

概要

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濃厚飼料多給下における飼料の蛋白含量と牛の採食時間,反芻行動および乾物摂取当りの咀しゃく時間との間の関係を消化率の面から検討した.6頭のホルスタイン種去勢雄牛にTDN75%,粗蛋白含量11%(LD),15%(MP),19%(HP)の3種類の配合飼料とイタリアンライグラス乾草(全飼料乾物中20%)を給与し,1期21日間の2反復3×3ラテン方格法で試験を行なった.配合飼料中の粗蛋白含量が高くなると,1) 乾草,配合飼料それぞれの採食時間がわずかに短かくなった.2) 反芻時間,反芻食塊吐出回数,1反芻期当りの反芻食塊吐出回数は有意に減少した.3) 全飼料乾物1kg当りの咀しゃく時間(採食プラス反芻時間)も減少し,HP区はLP区に比べて約30分間(LP区の25%相当)短縮した.4) 乾草と配合飼料を合わせた飼料全体の消化率は各成分とも増加し,特に繊維分画(粗繊維,CW, ADF,セルロース,ヘミセルロース)で著しかった.乾草乾物摂取当りの反芻時間,全飼料乾物摂取当りの全咀しゃく時間は,粗繊維,ADF,セルロース消化率と有意な負の相関を示した.しかし,CW,ヘミセルロース消化率との相関係数は有意でなかった.咀しゃく時間を"roughage index"として用いる場合,蛋白給与量に留意する必要がある.
社団法人日本畜産学会の論文