萌芽期と摘採期に及ぼす秋から春にかけての最高・最低気温と降水量の影響について
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概要
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気象と萌芽期ならびに摘採期との関係を分析するために,当場の気象観測と作況園の調査の20年間の結果を用いて萌芽期は9月〜3月の最高・最低気温と降水量,摘採期は萌芽期と4月の最高・最低気温と降水量との関係について相関,径路係数と重回帰分析を行なった。<BR>1. 萌芽期<BR>1) 相関分析の結果,最高・最低気温と降水量の相関係数は秋から春にかけて正から負に推移した。そして2月,3月の気温と降水量は負の関係が特に強かった。<BR>2) 径路係数分析の結果,3月,12月と1月の気温と3月の降水量との関連性が高く,萌芽直前の気象条件が大切であるものと考えられた。<BR>3) 各月の直接効果の高い要因の影響の仕方から,9月〜3月までの期間を9月〜11月上旬,11月中旬〜12月中旬,12月下旬〜1月上旬と1月中旬〜3月の4つの時期に分けられる。<BR>4) 影響の仕方の変化する11月前半は休眠に入る時期に相当し,11月中旬〜12月中旬は自発休眠の時期であると考えられた。12月下旬〜1月上旬は自発休眠から強制休眠へ移る時期に相当し,1月中旬〜3月までは,強制休眠の時期であると考えられた。<BR>5) 萌芽期を予測するためには9変数による表7の式が得られ,寄与率は97%である。<BR>2.摘採期<BR>1) 相関分析の結果,萌芽期と正の相関が高いが,4月の気象要因については負の関係が多く高かった。<BR>2) 径路係数分析の結果から,4,月の最低気温が高く,最高気温が急激に上昇せず,そして降水量が上旬多く,中旬少なくなることで促進されるものと考えられる。<BR>3) 摘採期を予測するためには11変数による表8の式が得られ,寄与率は97%である。<BR>最後に,気象観測と作況調査の貴重な資料の提供を頂いた当場栽培研究室の皆様と,本報のとりまとめに際し,有益なご指導を頂いた農水省茶業試験場栽培部茶樹第1研究室長鳥屋尾忠之博士ならびに同場栽培部長中山仰博士に対し厚くお礼を申し上げる。
- 日本茶業技術協会の論文
著者
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