秋から春にかけての気象要因が一番茶の収量に及ぼす影響について
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概要
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気象と収量の関係を明らかにするために,当場の9月〜4月の気象観測の最高・最低気温と降水量の半旬値と作況園の収量調査の20年間の結果を用い,相関,径路係数と重回帰分析を行った。<BR>1.相関分析の結果,相関係数は最高・最低気温と降水量の9月〜10月に負から正に,12月から1月に正から負に,2月〜3月に負から正に移行し,更に最低気温だけは4月に正から負に移行した。<BR>2.径路係数分析の結果,4月,10月,9月の気温と3〜4月と9〜10月の降水量との関連性が高く,秋と春の気象が大切であると考えられる。<BR>3.径路係数分析の直接効果が高い要因の影響の仕方から,気温について9月〜4月の期間を9月中旬〜11月中旬,11月下旬〜4月前半と4月後半の3つの時期に,降水量については9月〜12月,1月〜3月中旬,3月下旬〜4月前半と4月後半の4つの時期に分けられる。<BR>4.収量と気象の関係から,10月〜11月上旬は翌年の一番茶となる芽の充実期,11月中旬〜3月中旬までは耐寒性の関連が強い時期,3月下旬〜4月前半は新芽の生育準備期,そして4月後半は新芽の生育促進期であると考えられる。<BR>5.収量を予測するためには,表3の説明変数の中から11変数を取り上げ予測式を策定した。<BR>最後にこ,気象観測と作況調査の貴重な資料の提供を頂いた当場栽培研究室の皆様と,本報の取りまとめに際し,有益なご指導と助言を頂いた農林水産省野菜・茶業試験場茶栽培部育種法研究室長鳥屋尾忠之博士と前茶栽培部長の中山仰博士に対して厚くお礼を申し上げる。
- 日本茶業技術協会の論文
著者
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