豚胎盤の経時的形態形成に関する研究
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概要
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頂尾長1.5cm(妊娠約25日)から32cm(ほぼ満期)におよぶ豚胎盤について形態学的研究を実施した.頂尾長2.6cm(約30日)の時期,絨毛膜は隆起と窩に分化し,隆起では胎児性毛細血管が上皮内に進入し始める一方,窩では上皮細胞内に特有のコロイド小滴が出現し始める.子宮粘膜の上皮細胞は妊娠の進行とともに次第に高さが減少する.上記の隆起と窩に対応する子宮上皮の部位の間で形質的な差は見られない.絨毛膜と子宮上皮の接触面は光顕的には微細な鋸歯状結合が原則であり,ここはPASおよびアルシアンブルーに陽性に反応する.尿膜血管中に見られる赤血球は頂尾長3.5cm(約35日)期までのものではもっぱら有核であるが,4.2cmおよび4.9cm(約40日)のものでは有核赤血球がごく少数となり,以後はもっぱら無核の赤血球となる.隆起での絨毛膜上皮内毛細血管は妊娠の末期,上皮の核上部にまで進出するので,毛細血管内皮と上皮遊離縁との距離は1.5μm以下となる.一方,絨毛膜の窩および子宮上皮については妊娠の末期に至るまで毛細血管は上皮内に進入しない.窩の絨毛膜上皮に見られるコロイド小滴は妊娠70日期以後次第に消失する.子宮腺の直径は妊娠期進行性に増大し,また腺腔分泌物も増量する。浅在の子宮腺は深在のものに比べ,妊娠の中期(約40日〜80日),特に顕著な発達を示した.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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