豚偽雌雄同体例の観察
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概要
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1. ここに報告された生殖器異常の豚はヨークシヤー一種で年令約6カ月のものである。外部生殖器は一見したところでは雌型を呈し,その各要素には特に異常を認めない。陰門から外界に向かつて,わずかに陰茎様の突出物があり,その基部には貧弱な包皮が認められた。2. 内部生殖器には雌雄両性の各器官が見られた。尿生殖管起始部付近はきわめて複雑な様相を示し,そこには精嚢末端すなわち射精管および尿道が開口するが,この部分は同時にまた腟の末端でもあり,さらにその周囲を前立腺が取り巻いている。この部分から先は迂曲する長い骨盤部尿道となり外陰部に通ずる。3. 精巣組織は大形で精細管および間質組織がよく発達していたが,これに反し卵巣組織は実質的には欠除していたといえる。精細胞および卵細胞は全く認めることができなかつた。生殖器の奇形としてはPseudoherm-aphroditismus bilateralisの型に属するものと考えられる。4. 生殖器の正常発達に関する知見を参考にして,その成因を発生学的および内分泌学的見地から論じた。豚の雌雄同体に関する報告が現在まで比較的少ないので充分な考察を加えることができない。成因についてなんらかの結論に達するためには,さらに多くの報告が必要となるであろう。
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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