大黒鼠睾丸間質組織の組織内分泌学的研究 : II生理的, 実験的異常睾丸間細胞に於ける観察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1) 睾丸間細胞の機能的意義を検索する目的で本研究を行なつた。使用動物はWistar系大黒鼠で, 実験的或いは生理的範囲と認められる異常睾丸を材料とした。供試した動物の種類と数は次の通りである。1.萎縮睾丸3例, 2.無精子睾丸6例, 3.自然陰睾々丸6例, 4.人為陰睾々丸3例, 5.Androgen処理睾丸11例, 6.Estrogen処理睾丸1例, 7.Androgen estrogenの併合処理睾丸3例, 8.脳下垂体除去動物の睾丸7例, 9.脳下垂体除去手術後androgenを処理した睾丸10例.<BR>2) 材料の採出後は前報に述べたと同様な操作を行なつて顕微鏡標本を作つた。睾丸間細胞の形態的消長及び動物の年令増加に伴う一般的な老性化の解釈には特に留意した。更に又精子発生の発現に対する睾丸間細胞の機能的役割について批判的考察を加えた。<BR>3) 睾丸の構造的不均衡は種々の成因に由来すると思われるが, 大別すれば1) 精細管上皮の退行, 2) 間質組織の萎縮, 3) 精細管上皮の退行と間質組織の萎縮との両者の発現となる。この中で間質組織の萎縮が単独で出現する事は自然状態では殆んど無いように思われる。<BR>4) 精細管上皮が退行しているにも拘らず間質組織は正常のように見える場合が屡々ある。併し乍ら若い成熟動物の機能的な間質組織とこれとを比較すると構造的に非常な相違が認められる。即ち間質組織には分泌過程を示す成熟間細胞が減少し, 結合織線維が増殖し又精細管基底膜が肥厚する。これらの変化と共に退行像を示す間細胞が次第に多くなる傾向が認められる。<BR>5) 成熟間細胞の脱顆粒現象は睾丸内分泌機能と明らかに結びついているように思われる。更に又これら間細胞からの生産物は間質組織内の円滑な流通によつて精上皮に刺戟的効果を及ぼすものと考えられる。
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
関連論文
- カモシカの主要臓器の解剖所見
- 慢性腎不全を伴う自然発症高コレステロール血症(SHC)ラットにおける上皮小体の組織形態計測学的研究
- 牛子宮の血管分布の研究 : V. 胎児子宮における血管系の形態形成
- 牛子宮血管系の形態学的研究 : IV. 子宮壁特に小丘領域の静脈の形態学的研究
- 牛子宮の血管分布の研究 : III. 子宮広間膜内の静脈に関する形態学的研究
- 牛子宮血管系の形態学的研究 : II. 子宮壁特に小丘領域の動脈の形態学的研究
- 象の解剖
- 牛胎盤における栄養膜の赤血球貪食作用
- ニホンシカCervus nippon(奈良公園)卵巣の組織学的研究--生後発達と季節的変化について
- イヌ胎盤の栄養膜におけるグルコース6リン酸脱水素酵素
- スンクス腸管における4種類の内分泌細胞
- ネコ胎盤におけるハイドロキシステロイド脱水素酵素の局在と経時的変化について
- 豚胎盤の経時的形態形成に関する研究
- 加齢と性機能 : 一般的考察と特に牛の場合における検討
- 牛妊娠子宮の組織学的研究 : IV. 胎盤(小丘間領域ならびにplacentome)の鉄およびカルシウムについて
- 牛妊娠子宮の組織学的研究 : III. 子宮内膜(小丘間領域)の脂肪,グリコゲンおよび炭水化物群について
- 牛妊娠子宮の組織学的研究 : I. 子宮小丘間領域の内膜について
- 和牛における子宮頸の形態形成に関する研究
- 豚偽雌雄同体例の観察
- 大黒鼠睾丸間質組織の組織内分泌学的研究 : II生理的, 実験的異常睾丸間細胞に於ける観察
- イヌ精巣上体管の部位的差異に関する形態学的研究
- イヌ胎盤の栄養膜におけるハイドロキシステロイド脱水素酵素に関する組織化学的研究
- 老牛の卵管および子宮の組織学的研究
- 老令牛卵巣の組織学的研究
- 和牛における性腺の胎生発達に関する研究