イオン交換膜電気透析法により脱塩した脱脂粉乳溶液の理化学的性状について : I. 固形分8.3%の脱脂粉乳溶液について
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概要
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既報1)においてイオン交換膜電気透析法による脱脂粉乳溶液の脱塩法について報告した.本報においては,8.3%の固形分濃度に脱脂粉乳を溶解した液を既報1)と同様の方法で脱塩し,その溶液の性状および変化について検討した.その結果を要約すると次の通りである.1) 比電気伝導度(κ)が初期の値の1/22(減少率95.5%),および灰分含量が初期の値の1/6(脱塩率83%)となるまでは,たんぱく質の凝固などの不都合を生じることなく脱脂粉乳溶液を脱塩することができた.2) 脱塩開始の初期にはK, Clが急速に減少し,中期以降には主としてNa, Ca, Mg, Pが減少することを認めた.3) 脱脂粉乳溶液に含まれている各種無機イオンの中でNa, K, Cl, Ca, Mgはそれぞれその90%以上を除去することができたがPは64%の除去率であった.4) 脱脂粉乳溶液の脱塩によるCaの減少と,溶液の濁度の減少との間には,比電気伝導度(κ)が最初の値の約1/10の値になるまでは直線関係にあり,それよりも低い値の比電気伝導度(κ)を示す溶液においては濁度が再び上昇することを認めた.5) (i/κ)を一定に保ちながら装置を運転し,脱脂粉乳溶液の脱塩を行った場合,比電気伝導度(κ)が最初の値の約1/5以下の値となったところで,電流効率の減少,溶液pHの低下,溶液酸濃度の上昇が認められた.6) 比電気伝導度(κ)の減少率が95.5%となるまでに要する脱塩時間は,その減少率が50%となるまでに要する脱塩時間の約26倍であった.
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