クワシロカイガラムシに抵抗性を有する緑茶用品種ゆめかおりの育成
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ゆめかおりは,1986年に宮崎県総合農業試験場茶業支場において,さやまかおりを種子親,宮崎8号を花粉親として交配した中から選抜した品種である。<BR>1998年から2006年まで宮崎23号の系統名で16場所で系適試験,2場所で特性検定試験(もち病,裂傷型凍害)が実施された。<BR>その結果,クワシロカイガラムシにさやまかおりと同等以上の抵抗性を有しており,収量及び品質も優れることから普及に移し得ると判断され,2006年10月に茶農林54号として農林登録された。ゆめかおりは,クワシロカイガラムシ抵抗性を育種目標として育成された日本で初めての品種であり,現在,種苗登録出願中である。<BR>ゆめかおりの特性の概要は次のとおりである。<BR>1) 普及が見込まれる南九州等の暖地においては、一番茶の萌芽期は,やぶきたより7日程度,摘採期は4日程度早い早生品種である。<BR>2) 樹姿は中間型,樹勢はやや強,株張りはやぶきたよりやや大きい。<BR>3) 耐病性は,炭疽病及びもち病にはやや弱,輪斑病にはやや強である。<BR>4) クワシロカイガラムシに対する抵抗性は強である。<BR>5) 耐寒性は,赤枯れ,裂傷型凍害ともやや強である。<BR>6) 収量はやぶきたよりやや多い。<BR>7) 煎茶品質は,清涼感のある香気とこくのある滋味をしている。
著者
-
古野 鶴吉
宮崎県総合農業試験場茶業支場
-
上野 貞一
宮崎県総合農業試験場茶業支場
-
平川 今夫
宮崎県総合農業試験場茶業支場
-
安部 二生
宮崎県総合農業試験場茶業支場
-
長友 博文
宮崎県総合農業試験場茶業支場
-
佐藤 邦彦
宮崎県総合農業試験場茶業支場
-
佐藤 健一郎
宮崎県総合農業試験場茶業支場
-
水田 隆史
宮崎県東臼杵南部農業改良普及センター
-
吉留 浩
宮崎県児湯農林振興局
-
水田 隆史
宮崎県東臼杵南部農業改良普及セ
-
古野 鶴吉
宮崎県総合農業試験場
関連論文
- F203 トマトサビダニより分離されたHirsutella thompsoniiについて(病理学・微生物的防除)
- チャのクワシロカイガラムシ抵抗性品種の利用と物理的防除の可能性 (特別企画 茶樹の難防除害虫クワシロカイガラムシの生態と防除対策)
- チャノナガサビダニ (特集:サビダニ類の発生動向と防除対策)
- 煎茶用品種さきみどりの育成
- 抵抗性品種におけるクワシロカイガラムシの摂食行動の解析
- チャ育種における煎茶品質の選抜法試験
- D219 EMSを用いたチャにおけるクワシロカイガラムシの摂食行動の解析(寄主選択・耐虫性)
- 水稲のシラス育苗
- クワシロカイガラムシに抵抗性を有する緑茶用品種ゆめかおりの育成
- チャ遺伝資源の裂傷型凍害抵抗性の特性評価
- 暖地におけるチャ害虫の生態及びチャ育種の効率化に関する研究
- チャ遺伝資源の輪斑病抵抗性の特性評価
- 吹き上げ型ノズルによる茶園のカンザワハダニ防除
- チャの裂傷型凍害抵抗性の品種間差異と検定法の開発
- チャの重要害虫クワシロカイガラムシPseudaulacaspis pentagona (Targioni) (Hemiptera: Diaspididae)における抵抗性品種の実用化と抵抗性発現機構に関する研究
- チャ樹におけるクワシロカイガラムシPseudaulacaspis pentagona Targioniの発育と増殖の品種間差異
- チャにおけるクワシロカイガラムシ寄生の品種間差
- 煎茶用品種はるもえぎの育成
- 煎茶用品種みやまかおりの育成
- H114 チャに寄生するクワシロカイガラムシの抵抗性品種上での発育と増殖(寄主選択・耐虫性)
- チャにおけるチャノナガサビダニの葉位別寄生密度と増殖能力の品種間差異
- チャの品種によるクワシロカイガラムシ生存率の違いと生存率に基づく抵抗性検定
- チャノナガサビダニの発育と産卵におよぼす温度の影響
- チャノナガサビダニの発育、増殖に及ぼす温度の影響
- 高湿度と湛水条件がクワシロカイガラムシ卵のふ化に与える影響と茶園でのスプリンクラー散水による防除
- ゴマフボクトウの生態および防除に関する研究(第3報)
- ゴマフボクトウの生態および防除に関する研究(第1報)
- A Newly Registered Tea Variety "Unkai"for Green Tea