稲発酵粗飼料を利用した肉用牛肥育生産に関する最適飼料設計

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日本飼養標準の栄養素要求量に基づく肉用牛肥育に関する最適飼料設計法を用いて，さまざまな条件下における稲発酵粗飼料（WCRS）利用について評価した．この方法は，通常の線形計画法に飼料中の過剰な窒素含量に負の重み付け係数（ペナルティー係数）を加えることによって，飼料コスト（経済性）と窒素の排泄量（環境負荷）の両方を削減できるように拡張した．本研究では，さまざまなWCRS単価， 1日当たりの平均増体量，肥育後期のビタミンA制限値（下限値を設定して，上限値は下限値に3,000 IU/日加える）およびペナルティー係数の条件下で，最適飼料設計を行った．その結果，WCRS利用の分岐単価は14円であり，このことはWCRSの単価が14円以下であれば，乾草の代用としてWCRSが利用されることを意味していた．その分岐単価においては，1日当たりの平均増体量が大きいほどWCRSの利用は減少するが，飼料コストと環境負荷は低減することが示された．このことから，家畜の発育を向上させることは，経済的にも環境負荷の観点からも支持されることが示唆された．肥育後期のビタミンAの制限を緩和することは，稲わら給与に比べて，β-カロテンに富んだWCRSの利用を促進することが示された．飼料の窒素に関するペナルティー係数が大きくなれば，粗タンパク質やリン含量の高いフスマの給与が低下され，それに代わって，濃厚飼料に関しては中性デタージェント繊維含量に富む大麦，粗飼料に関しては窒素含量の少ないWCRSの給与が増加した．窒素排泄量と飼料コストのトレードオフ関係から，ペナルティー係数の導入は，環境負荷を低減させるが，飼料コストの増加をもたらすことが示された．
社団法人日本畜産学会の論文

稲発酵粗飼料を利用した肉用牛肥育生産に関する最適飼料設計

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