硫化NiW/Al_2O_3触媒のテトラリンおよびo-キシレン水素化活性と表面構造に及ぼすキレート剤の添加効果

概要

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本研究では，NiやWとの錯形成定数が異なるキレート剤を含浸溶液に添加してNiW/Al2O3を調製し，そのテトラリンおよびo-キシレン水素化活性と表面微細構造を調べた。いずれの反応でもキレート剤の添加によって活性が1.2〜3倍向上し，シクロヘキサンジアミン四酢酸（CyDTA）が最も大きな効果を示すことを見出した。次いで，NiとWの分散度をNOパルス吸着法およびXP分光法により調べ，キレート剤の添加によりNiの分散度の向上が示唆された。さらに，CyDTAの添加によりWS2クラスターのW-S配位数が増加することがEXAFSから示された。WS2クラスターのエッジにNiが配位するとNi-S-W結合が形成しW-S配位数が増加することを考慮すると，キレート剤の添加によりNi-W-S相の形成が促進されると推定される。また，キレート剤とNiやWとの錯形成定数を調べた結果，Niとの錯形成定数の大きなキレート剤ほど大きな活性向上効果を示すことを見出した。キレート剤がNiと安定な錯体を形成し，それが担持，乾燥後も残存することによりNiの硫化過程に影響を及ぼし，Ni-W-S相の形成が促進されると考えられる。
社団法人石油学会の論文
2004-07-01