大豆タンパク質分散液の粘弾性挙動に及ぼす測定周波数, pHおよびタンパク質濃度の影響
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概要
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各pHの分散液の周波数依存性から, 大豆タンパク質分散液は構造粘性をもつことが確認された. すなわちpH6.7およびpH9.8の場合の方がpH12.0の場合よりも周波数の増大に伴って急激なηとGの低下を示すことから, pH6.7およびpH9.8ではタンパク質分子構造がせん断に対して壊れ易い構造, すなわち, 分子間での引力などに起因する相互作用が弱い構造をとり, pH12.0では壊れにくい構造, すなわち, 分子間の相互作用が強い構造をとっていることが推察された. また, 大豆タンパク質分散液のタンパク質濃度とlogηおよびlogGの関係から, pH6.7では上に凸の曲線を, pH9.8では直線的で, pH12.0では下に凸の曲線を描き, 各pHで顕著な差異がみられた. さらに, 大豆タンパク質分散液のpHとlogηおよびlogGの関係から, pH9.5付近にピークを有し, pH12近辺のタンパク質分子の解膠が最大になることが示された. η/G比はpH12.0では約1.4 (ω=Hz) をとり, pH9.8では他のpHよりも高いη/G比である約5.0 (ω=0.1Hz) を示した.以上より, 中性付近で良好な紡糸性を得るための大豆タンパク分散液の必要条件としては, pH12の場合に近似した動的粘弾性挙動をとることである. それはη/G比が約1.4 (ω=0.1Hz) 付近にあり, 分子間の相互作用をもつ直鎖状の分子構造をとり, かつ, 動的粘弾性の濃度依存性が下に凸の曲線を描くことがあげられた.今回得られた検討結果をもとに, リジノアラニンが発生しない常温, かつ中性付近での紡糸を検討中であり, 中性紡糸の可能性を得ている.
- 社団法人 日本食品科学工学会の論文
著者
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笠置 高正
九州共立大学工学部環境化学科
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添田 孝彦
九州共立大学工学部環境化学科
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外園 亜紀子
九州共立大学工学部環境化学科
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添田 孝彦
九州共立大学 工学部生命物質化学科
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外園 亜紀子
九州共立大・工
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添田 孝彦
九州共立大学工学部生命物質化学科
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笠置 高正
九州共立大学工学部生命物質化学科
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