琉球在来豚(アグー)の効率的繁殖技術の確立 (3)
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概要
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琉球在来豚(アグー)の授精適期を的確に判断することを目的に,正常な発情周期を呈するアグー(Ag)とランドレース(L)を供試して,発情前後6日間の膣内粘液電気抵抗(VER)値の変動および性ホルモンの動態との関連を比較したところ,結果は以下のとおりであった。1 .アグーは,1)VER値が最低となる時期(Ag;発情日の約56時間前,L;約24時間前),2)血漿中エストロジェン(Estradiol-17β; E2)濃度が最も高くなる時期(Ag;発情日の約16時間前,L;発情日),3)血漿中プロジェステロン(Progesterone; P4)濃度が上昇する時期(Ag;発情日の約24時間後,L;約28時間),4)LHサージの発現(Ag;発情日の約48時間前,L;約24時間前)のいずれもランドレースより早いことが確認された。このことから,アグーの発情行動,排卵はランドレースより早く起こることが示唆された。2. 両品種共にVER値が最低値を示したのは,LHサージが発現してから約10時間後であった。このことから経時的なVER値の測定によりLHサージを予見し,排卵時期を推察できると思われた。3. VER値とP4濃度との間には高い有意な正の相関(pく0.001)が確認され,LH濃度との間には有意な負の相関(PくO.05)が認められた。このことから,VER値の測定により性ホルモンの動態を推察することが可能であると考えられた。4. 排卵時期,精子の卵管到達時間などの時間的要因からアグーの授精適期は発情直後であると推察された。5. 両品種ともにVER値の変動および血漿中性ホルモンの動態に大きな違いは認められなかった。以上のことから,VER法は性ホルモンの動態を推察しながら発情日の推定が可能な有用な手法であると確認された。したがって,アグーの受胎率を高め,効率よく繁殖させるためには,VER法を活用しながら発情状態を確認し,発情直後に1回目の授精を行う方法が最良な方法であると考えた。
- 2008-08-00
著者
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