琉球在来豚(アグー)を活用した銘柄豚の確立(6)
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概要
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産肉性の改善を目的として,アグー(A)交雑種の肥育試験および肉質評価を実施した。供試豚はAの雄に,ランドレース(L),大ヨークシャー(W),デュロック(D),交雑種(LW)の雌を交配した交雑種(LA,WA,DA,LWA)と3元交雑種(LWD)を用い,体重約40kgから豚産肉能力検定用飼料(TDN74.5%,CP14.5%)を不断給餌し,肥育試験を行ない,体重が約110kgに達した時点でと殺し,肉質調査を行なった。1 .増体成績において,A交雑種のDGは,WAが793.4g/日と最も高く,次いでDAが660.8g/日,LAが642.3g/日,LWAが618.4g/日であった。A交雑種の飼料要求率は,LAが3.7と最も低く,次いでLWAが3.8,DAが4.0,WAが4.1であった。LWDのDGは884.3g/日でA交雑種に比べ有意に高く,飼料要求率は3.2でA交雑種に比べ低かった。2. 枝肉成績において,枝肉重量は,A交雑種,LWD共に有意差は認められなかった。A交雑種の背脂肪厚(3部位平均)は,LAおよびWAが4.1cmと最も薄く,次いでDAが4.5cm,LWAが4.6cmであった。A交雑種のロース断面積は, LAが17.9cm2,WAが16.4cm2,DAが16.2cm2,LWAが15.9cm2で,各交雑種間に有意差は認められなかった。LWDの背脂肪厚(3部位平均)は3.7cmでA交雑種に比べ有意に薄く,ロース断面積は20.8cm2でA交雑種に比べ有意に大きかった。3. 肉質成績において,筋肉内脂肪含量は,DAが4.2%と他の供試豚に比べて有意に高く,次いでWAが3.0%,LAが2.8%,LWAが2.7%,LWDが2.5%であった。内層脂肪融点は,LAが35.4℃と最も低く,次いでLWAが37.4℃,WAが39.0℃,DAが39.3℃,LWDが39.4℃であった。A交雑種の中で,筋肉内脂肪含量が高いDAおよび脂肪融点が低いLAは,肉質特性に優れていることから,Aとの交配に適している品種は,DまたはLであると考えられた。
- 2006-12-00
著者
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