ファームポンドの調整機能および貯留機能診断手法の確立

概要

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農業用水の配水組織においてファームポンドは農業用水の需要変動に柔軟に対応するための重要な調整施設である。一般に、ファームポンドは灌漑地帯の土地利用状況および農家の水利用実態などを考慮し、用水需要の変動に柔軟に対応できるように用水計画が策定されており、これを基に施設規模が決定される。しかしファームポンドを含む農業水利システムが整備されると、多品目の作物の栽培や施設畑における作物生産が可能になるため、土地利用形態や作付体系が計画から変化することがある。このため、水需要は従前より複雑なものになり、実際の用水量と計画時の用水量の間に差異が生じるケースが見られる。近年、ファームポンドの老朽化に伴って全国各地で更新事業が行われているが、この際には適切に施設の機能診断を行い、妥当な施設容量などの検証を行うことが必要である。本研究では、ファームポンドの水利用を把握し、その調整機能および貯留機能の診断手法を確立することを目的としている。さらに、この手法を用いてファームポンド灌漑地帯における用水不足の危険性を予測し、これを回避するための方策を提案することを最終目的としている。一般に、ファームポンドの灌漑地帯は畑地帯であることが多いが、本研究では、灌漑地帯に水田と畑が混在し、複雑な水利用が行われている佐賀県唐津市上場地区の5号ファームポンドを対象とした。
水利科学研究所の論文
2010-10-00

著者

中野芳輔
九州大学大学院農学研究院

ファームポンドの調整機能および貯留機能診断手法の確立

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