水田浸透過程における栄養塩類濃度の低減機能評価
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概要
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本研究では,水田の水質浄化機能を評価する方策として,水田の浸透過程における栄養塩類濃度の動向を,排水収支型のライシメータ及び円筒ポットを用いた実験を行い,水質の動向を分析した.ライシメータモデルの実験は,水田の利用履歴の違い,循環灌漑および曝気処理を想定したモデルを構成し,水質分析を実施した.ポットモデルの実験では,ポット内に水田土層を構成し,層別に土中水を採水して濃度分布を分析した.水田の利用履歴の違いにより比較した結果,永久水田を想定したライシメータがもっとも大きな濃度低下を示した.循環濯概の頻度により比較した結果,どのモデルも浄化効果が確認されたが,灌漑頻度の多少による浄化効果の違いは現れなかった.また曝気処理による顕著な浄化作用は確認されなかった.ポットモデルを用いた実験の結果,表層の作土層において,濃度が高くなるものの,直下の耕盤層で飛躍的に濃度が低下していることが確認できた.これらの実験結果から,水田による栄養塩類除去には,難透水性の耕盤層が形成されていることが有効であり,浸透水の滞留時間が長くなることでより効果的であることが確認された.This study was researched on the trends of water quality using lysimeters and cylinder pot to examine utilization of the paddy fields for purifying water quality. Two type of experiments purifying water quality have been executed, the one was the model of using lysimeters supposing about the histories of land use conditions, the frequencies of circulating irrigation water and aeration methods. Another was the model of using cylinder pot consisted four soil layers simulated the part of the paddy fields. The comparison with the histories of land use conditions, the effect of purifying water quality with the model of the general paddy field was better than the restored paddy field. Comparing with the frequencies of circulating water, the effect of purifying water was verified every models, but there weren't any feature with the difference of the frequency. In the case of the aeration method model, nutrient rich salts in the irrigation water haven't changed very much. According to the experiment about cylinder pot, the concentrations of the nutrient rich salts in the soil water have decreased greatly at the layer of plowsole. As a result of these experiments, it was important for removal nutrient rich salts with paddy fields to be formed impermeable layer of plowsole, and more effective to percolate as slowly as possible.
- 九州大学の論文
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