大阪市立大学理学部附属植物園(大阪府交野市)に野生する植物とその特徴
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概要
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大阪市立大学理学部附属植物園は,生駒山系の北西部に位置し,自然林を含む形で森林型見本園を目指して造成された面積約25.5haの草地とそれを囲む森林からなる緑豊かな植物園である。この植物園は基礎研究・環境教育の場として活用されてきた。植物目録としてはすでに3回の報告があるが,いずれも基本的には植栽されている植物を中心としたリストであった。この植物園を環境教育,学校現場の教材の場として活用していくためには,植栽された樹木・園芸植物だけでなく,自然に生育している植物の情報も重要である。そこで植物園に野生する植物相を明らかにすることを目的とし,草本・シダ植物を中心とした採集調査を行った。その結果,シダ植物と種子植物を合わせて63科274種を採集し,従来の報告と合わせ植物園に草本植物は246種が確認された。帰化率は26.4%であった。生駒山系の他の公園に比較しても面積に対して生育種数は多く,またその多くは人里・畑地雑草であったが,これら以外に近畿で失われつつある里草地の植物や比較的稀な林床性草本の群落も確認された。さらに園内に,大阪府レッドデータブック(2000)で絶滅として記載されたアイナエ(マチン科)群落が確認され,植物園が大都市に隣接した質の高い公的緑地ととしてだけでなく,消滅しつつある周囲の里山植物の保全場所の機能も果たしていることが示された。Botanical Gardens, Osaka City University, located in the northwestern part of Mts. Ikoma were established in 1950 aiming at not only arboretums but olso at learning places for the vegetation types of the natural forests(25.5ha in the area). It contains grasslands and forests including the planted and natural secondary forests. To clarify the wild flora in this botanical garden, we have conducted a study that focuses on collecting ferns and herbaceous plants. 274 taxa(69 families)have been collected(255 seed plants and 19 ferns). Ananlysis adding data of the previously collecting speciemens in 2009-2012 reveals that 246 wild herbs habit in the botanical gardens and the naturalization rate was 26.4 %. Many of them are common weeds which habit in cultivated places or at open road sides. Several forest floor herbs collected were rare species in Mts. Ikoma. Furthermore, Mitrasacme pygmaea R.Br.(Loganiaceae)was collcetd in the grassland zone of the botanical garden, which species have been treated as extincted species in Osaka Pref. These results show that this botanical garden adjuscented to the metoropolis would take a role not only as high quqlity public green parks and arboretum but also as the safty sites for many natural endangerd species in Osaka Pref.
- 2013-02-28
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