貯蔵中におけるブドウ果実脱粒への糸状菌の関与
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概要
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[Synopsis] Several species of fungi belonging to Genara Alternaria, Botrytis, Cladosporium, Pestalotiopsis, Rhizopus, and Stemphylium, were isolated from shattered berries of cultivars Kyoho, Muscat Bailey A and Delaware collected from grape orchards and markets. Their inoculation experiments indicated that major fungi involved in the shattering were Botrytis cinerea, Altemaria sp. and Rhizopus stolonifer. Types of shattering were classified into two, physiological shattering and decay shattering. The former was accompanied by the formation of an abscission layer at the bourrelet, while the latter was characterized by the remnant of pericarp at the bourrelet. Ethyelene treatment induced the abscission layer formation, while inoculation with Botrytis cinerea reproduced mainly the decay shattering with an extensive growth of the fungus on inoculated berries. Concomitant treatment with ethylene and the fungal inoculation enhanced berry shattering, reaching to 60% during 24 days of incubation. The results indicate that fungal infection causes not only decay shatterring, but also the physiological shattering. Spray of iprodione(500 μg/ml) on grapes 65 days and 9 days before harvest markedly decreased berry shattering during storage at 5℃ for 2 months. Similar protection of grapes was observed when harvested clusters were rapped in SO_2- generating paper sheet. [摘要] 出荷及び貯蔵中のブドウ脱粒果実から Botrytis cinerea, Alternaria sp., Rhlizopus stolonifer, Stemphylium sp., Pestalotiopses menezesiana, Cladosporium sp. の6属糸状菌を分離し, それらの接種実験から, 主に脱粒に関与する菌はBotrytis crnerea, Alternaria sp., Rhlrzopus stoloniferであることを明らかにした。それらの菌が関与した脱粒と生理的要因による脱粒を形態的に区別し, それぞれ「腐敗脱粒」と「生理脱粒」とした。「腐敗脱粒」においては, 果柄周辺部で病原菌が増殖し, その隣接果肉組織が軟化崩壊したが, 「生理脱粒」においては, 病原菌による軟化症状は認められず, 収穫直後の果房をエチレン処理した場合に誘起される脱粒と同様な離層形成が観察された。エチレン処理並びに菌接種を同時に行った場合の脱粒率は菌接種の2倍, エチレン処理の1.1倍となり, 24日後には約60%に達した。しかし, 無処理果実においては, 実験期間中の脱粒は全く観察されなかった。これらの結果から. 病原菌の感染は, 「腐敗脱粒」のみならず, 「生理脱粒」にも関与するものと考えた。一方, 長期貯蔵中の腐敗を防ぐため, ロブラール水和剤(イプロジオン500μg/ml)の収穫前散布及び保鮮紙包装の貯蔵効果を比較検討したところ, いずれの処理においても2カ月貯蔵期間中果実の腐敗は抑制され. 顕著な脱粒防止効果が認められた。
- 1999-03-00
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