インターアクションを意識し考えて学ぶ初級会話 : 「考える活動」の実践報告
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概要
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口頭表現能力を養成するためには、状況に応じた語彙、表現、談話構造を覚えると同時に、相手の話をよく「聞き」、適切な応答を「考え」、「話す」という練習も必須である。北海道大学留学生センターの集中コースの会話クラスでは、初級の段階からこれらの能力を養成することを目的として、会話教材を開発している。新教材では、従来のように最初にモデル会話や新出表現・文型を提示せず、絵と短かい説明で状況や場面を提示している。学習者は状況を把握し聞き手あるいは話し手の立場でどう表現するか考えることから始める。すなわち、学習者が実際の会話の当事者としてインターアクションを意識して会話を進めていく練習を行うものである。実際に使用した結果、学習者の負担が少なく、より自然な状態で導入できるという利点があった。また、学習者は状況、場面を意識して様々に可能な表現を考え、教室内で協働してその適切さを判断している様子が見られた。これにはメタ認知プロセスも含まれ、学習者は、この活動を通しメタ認知技能を明示的に使用して、それを高め、さらに口頭表現能力を養成することができると言える。In order to develop oral communication ability, it is necessary to learn vocabulary, expressions and discourse structures appropriate to various situations. At the same time learners also require the skills to listen carefully, to think of the appropriate response and to speak instantaneously. In beginners' conversation classes, innovative materials have been developed with the aim of developing these skills. These new materials include pictures that show various situations or scenes with short explanations. Rather than practicing model conversations and new sentence patterns typically introduced at the beginning of lessons, students first consider the situation and think of appropriate expressions as a speaker, or appropriate responses as a listener. In this way, students can practice carrying out conversations in an interactive and meaningful context. Practice with the materials offers learners more practical situations and makes understanding easier. Learners can speak aloud various expressions for each situation, and evaluate the appropriateness of different expressions. This is a process of metacognition, and these interactive activities allow learners to enhance their metacognitive skills, and to develop their Japanese oral communication ability.
- 北海道大学留学生センター = Hokkaido University International Student Centerの論文
著者
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