重要文化的景観地、通潤用水の魚類相および水生昆虫相
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概要
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We studied fish and aquatic insect faunas in Tsujun Yousui, an agricultural canal in Kumamoto Prefecture, which has been designated as an important cultural landscape by the Agency for Cultural Affairs of Japan. Between Decemnber 2007 and December 2008, we studied 18 sites within the canal and 2 sites within the neighboring rivers. We found 7 and 9 fish species in the canal and rivers, respectively. Tanakia limbata, which is listed as a threatened wildlife species in the Japanese Red List, was found only in the canal. In general, T. limbata appears on the plains; this is why it was very rare in this study area which had an altitude of over 400 meters. Among aquatic insects, several threatened species such as Lethocerus deyrollei, Agabus optatus Cybister brevis, and Appasus japonicus were found in the canal. Analysis with multiple regression models revealed positive correlations between the aquatic plant cover and the number of T. limbata individuals or insect species. Compared to the plant cover in the sites with concrete, the cover in the sites with concrete correlated with a lower number of T. limbata individuals and insect species. These results suggested that the revetments should be maintained without concrete for sustaining the biodiversity in this canal.熊本県山都町の重要文化的景観地内を流れる通潤用水にて、2007年12月から2008年12月の間に淡水魚類とカメムシ・コウチュウ目の水生昆虫類調査を実施した。用水内に出現した淡水魚類の種数は7種と少ないものの、通常、平野部に見られるアブラボテが採集された点が特徴的であった。水生昆虫類は出現種数が多いだけでなく、絶滅危惧種クラスの数種の希少昆虫類の生息が確認された。アブラボテの個体数や水生昆虫類の種数は植生の被度との間に正の相関関係を示したこと、土堤区間に比べてコンクリート護岸区間の植生被度が有意に小さい値を示したことから、用水の生物多様性を維持するためにはコンクリートを使わない土堤の維持が重要であると考えられる。
- 2010-10-29
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