幼児の食生活に関する研究(第31報) : 都市近郊幼児における食物・栄養素等摂取状況の25年間の推移
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
幼児栄養をより的確に把握するために、都市近郊幼児の5~6歳児、10~25名(延べ137名)を対象として、昭和47年から平成10年までの25年間にほぼ数年間隔で7回、主として四季の各連続3日間(通年12日間、但し、第5・6回調査は3日間、第7回調査は通年6日間)の食物摂取量を秤量調査し、食品群別・栄養素等摂取状況の5~25年間の推移を検討し、以下の結果を得た。(1) 1日当たりの摂取食品数は総数で26→32種類へ漸増、うち動物性食品数は6種類で変らず、植物性食品数は20→26種類へ漸増、間食食品数は5→4種類へ減じた。(2) 食品群別摂取状況は、初回調査年より既に都市化型で良好・潤沢な水準にあり、その後穀類とくに米類摂取量の漸減、肉類摂取量の高値は25年来続いた。25年目の平成10年度においては、緑黄色野菜の有意な摂取増を除き、殆どの摂取量が有意に減少し、摂取水準は低位に転じた。(3) 栄養素等摂取状況は、初回調査年におてV.Dを除く殆どが充足され、その後もV.D等若干の微量栄養素の充足されない年度もあったが、概ねは良好な摂取水準が維持されていた。しかしながら、25年目の平成10年度において、V.A、タンパク質を除く他は所要量を下回る摂取水準を示し、初回調査成績とは殆どに有意差が認められた。(4) 穀類(40→33.7%、p<0.05)・糖質(59→57.9%)エネルギー比は漸減、脂肪エネルギー比(28→34→28%)・動物性タンパク質比(53.5→59.9→49.7%)は昭和57年度まで漸増、同脂質比(42.2→54.6→40.5%)は平成7年度まで漸増し、いずれも以後漸減した。(5) 対象児の体位(身長、体重、BMI)は各調査年度共に正常値の範囲にあり、体力評価は中位の成績でそれぞれ推移し、摂取栄養水準の改善による影響はとくに認められなかった。なお、近年の1日当たりの歩行数は11,011~16,907歩で増加傾向が見られた。以上、すでに都市化型を示す都市近郊幼児の食生活における、その後の25年間の動向は、山村・近郊農村幼児の場合とは対照的であることが知られたが、漸減しつつある米摂取量の適正化を図ることが、生活環境の別を問わず幼児栄養の共通の課題であることが確認された。
著者
関連論文
- 青年期女子の健康教育による保健行動の変容と性格特性比較
- 幼児の食生活に関する研究(第28報) : 幼児期に実施した栄養教育効果の学童期の食物摂取に及ぼす影響について
- 幼児の食生活に関する研究(第31報) : 都市近郊幼児における食物・栄養素等摂取状況の25年間の推移
- 幼児の食生活に関する研究(第30報) : 近郊農村幼児における食物・栄養素等摂取状況の30年間の推移
- 幼児の食生活に関する研究(第29報) : 山村幼児における食物・栄養素等摂取状況の30年間の推移
- 新潟市幼稚園児の食生活に関する研究(第3報) : 5歳児の食生活と健康状態との関連性
- 新潟市幼稚園児の食生活に関する研究(第2報) : 家族形態と母親の生活状態からみた5歳児の食生活の実態
- 新潟市幼稚園児の食生活に関する研究(第1報) : 園児の食生活の実態
- 成長期の食生活に関する研究(第4報) : 新潟市在住の幼児期から青年期までのカルシウム/マグネシウム摂取比と食物摂取状況
- 幼児期から青年期までの給食における脂溶性成分,食物繊維,ミネラルの給与の実態に関する調査
- 新蛋白食品の利用に関する研究(第2報) : 動物性食品に対する代替性について(Protein Scoreを指標として)