幼児の食生活に関する研究(第28報) : 幼児期に実施した栄養教育効果の学童期の食物摂取に及ぼす影響について
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概要
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幼児期の一時期に母子参加による栄養教育を受けた経験を持つ学童を対象に、その栄養教育が学童期の食物摂取にどのように反映されているかについて観察した。小学校5年生男子5名、女子9名計14名を教育群とし、対照群(男子3名、女子7名計10名)を設定して、食物・栄養素等摂取状況、生活習慣・健康状況等の調査成績の比較から、今回はとくに摂取量に有意差の認められた緑黄色野菜摂取に関して、詳細な検討を試みた。その結果は次のように要約される。1)食品群別摂取状況において両群間に有意差の認められた項目は、緑黄色野菜摂取量(教育群86.4±25.2g>対照群54.6±35.1g)であった。栄養素等摂取状況においてはカルシウム摂取量(教育群>対照群)に有意差がみられ、教育群の同摂取量は充足されていた。健康状況に関しては教育群の方が有意に排便回数に規則性がみられた。2)教育群の方が野菜総量に占める緑黄色野菜摂取比率、連続3日間延べ9食中における同摂取頻度とくに朝食における同摂取頻度が有意に高かった。3)緑黄色野菜摂取量と同摂取頻度との間には、両群ともに有意な正相関が得られ、摂取頻度が摂取量を規定していることが知られた。4)教育群では、緑黄色野菜摂取頻度と食事診断得点および排便回数との間に有意な正相関が得られた。5)母親の意識調査では、教育群の方が緑黄色野菜の料理への積極的な利用、緑黄色野菜の効用に関する知識等において優位を示した。以上、少数例の成績で普遍性を期し難いものの、緑黄色野菜摂取状況に関して、幼児期における母子参加の栄養教育の有用性が示唆された。
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