ソルガムのヒエノアブラムシ抵抗性 葉面ワックスと栄養成分
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概要
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ヒエノアブラムシの寄生密度にソルガム葉の葉面ワックス、栄養成分である糖と遊離アミノ酸がどのように影響するかを明らかにするために、抵抗性、中間、感受性の3系統のソルガムを用いて、これらの物量の含量を比較した。(1)ソルガムに寄生するアブラムシとしては、ヒエノアブラムシのみであった。8月中旬のアブラムシ寄生数は抵抗性系統で0、感受性系統で約3,500頭、その中間系統で約30頭であった。(2)葉面ワックス量は3系統ともほぼ同じであった。(3)全糖含量は抵抗性、中間系統の方が感受性系統に比べわずかに高い傾向であった。(4)全遊離アミノ酸含量は抵抗性、中間系統の方が、感受性系統よりも高かった。(5)これらの結果、葉面ワックス、糖、遊離アミノ酸はソルガムのアブラムシの寄生に影響を及ぼさないようにみえた。二次代謝産物であるデューリン、ベンジルアルコール、パラヒドロキシベンズアルデヒド、アコニット酸等が、ソルガムでのアブラムシの寄生密度を制御していると思われる。The differences in the amounts of leaf surface wax and nutritional components such as sugar and free amino acids were compared among resistant (PE 954177), moderately resistant (IS 84) and susceptible (Redlan B) sorghum varieties to the sugarcane aphid. Melanaphis sacchari (Zehntner). (1) The kind of aphid appearing on the leaves of the sorghum varieties was only the sugarcane aphid, Melanaphis sacchari in the field. The number of aphids infesting a leaf was ca 0,30 and 3,500 in the resistant, moderately resistant and susceptible varieties at the middle of August, respectively. (2) The amount of leaf surface wax was approximately constant among these three varieties. (3) The total sugar content was slightly higher in the two resistant varieties than in the susceptible variety. (4) The total free amino acid concentration was higher in the two resistant varieties than in the susceptible variety. (5) These findings suggest that neither leaf surface wax nor nutritional components seem to affect the aphid populations on the leaves of the three sorghum varieties, showing that biogenic substances such as dhurrin, benzylalcohol, p-hydroxybenzaldehyde, aconitic acide, etc. may affect the aphid populations.
- 岡山大学資源生物科学研究所の論文
著者
-
積木 久明
岡山大学・資生研
-
MOHARRAMIPOUR Saeid
Laboratory of Biological Communication and Research Institute for Bioresources, Okayama University
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