ニホンザル繁殖システムへの顕微受精の応用
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
継続後誌:近畿大学先端技術総合研究所紀要 = Memoirs of Institute of Advanced Technology, Kinki University野生動物から実験動物化が進められているニホンザルを用いて、人工生殖技術として開発された顕微授精による胚生産システムが機能する事を確認し、そこに含まれる問題点を検討した。実験では、9頭のニホンザルを使い、全部で108個の卵子を回収した。しかし、そのうち成熟した卵子 Class1は、36個であった。過剰排卵処理による卵胞と回収卵子の増加は認められるものの、卵子の成熟率は33%と低く、また回収された成熟途上卵と未成熟卵の培養後の成熟率は10%と非常に低かった。顕微授精を行った卵子は36個で、15個に前核が確認できた。また、15個の前核期卵を培養した結果、11個が分割した。このうち、2個は2頭に移植されたが、残る9個は培養され、2個は桑実期胚まで発育した。これらの結果は、ヒトの人工生殖技術がニホンザルで有効であることを示唆しているが、実用化には改善されなくてはならない点が多いと考えられる。 (英文) We examined the efficiency of embryo production by ICSI using Japanese monkey. Superovulation in 9 Japanese monkeys was induced by PMSG and hCG injections, and oocytes were collected from preovulatory follicles under laparoscopic observation. Maturity of oocytes was examined by removing cumulus cells. Thirty-six (33%) of 108 oocytes reached to MII stage. Immature oocytes were cultured for 24h in BWW medium supplemented with 0.3% bovine serum albumin (BSA), and only 6 oocytes (10%) reached to MII stage. Fifteen of 36 (67%) of them were reached to pronuclear stage. Eleven oocytes were cleaved. Two of them were transferred to recipients and rest of them were cultured in vitro and two of them were reached to morulae stage. These data suggest that ICSI is a useful artificial reproductive technology in Japanese monkey, however, still these technology should be improved for practical use.
著者
-
細井 美彦
近畿大学生物理工学部
-
細井 美彦
近畿大学生物理工学部遺伝子工学
-
鳥居 隆三
滋賀医科大学動物実験施設
-
鳥居 隆三
滋賀医大 医 動物実験施設
-
鳥居 隆三
滋賀医科大学医学部附属動物実験施設
-
増田 善行
滋賀医科大学産科婦人科学講座
関連論文
- カニクイザルES細胞の分化に対するBMP4の効果
- 走査型近視野原子間力顕微鏡によるウシ精子の表面形状の観察
- 214 レーザーアブレーション法によるハイドロキシアパタイト薄膜の力学的評価
- 1113 高い固着強度をもつハイドロキシアパタイト薄膜被覆金属インプラントの作製
- 633 トランスジェニックラットより摘出した膝蓋腱の生体力学的特性(OS7-2:軟組織のバイオメカニクス,オーガナイズドセッション7:軟組織のバイオメカニクス)
- E-16 イハラてんかんラット(IER)の全身性強直・間代痙攣発作の脳波所見について
- D-19 イハラてんかんラット(IER)のpentylenetetrazole誘発痙攣に関与する遺伝子座のquantitative trait loci(QTL)解析
- C-10 イハラてんかんラットの発作発現に伴うGABA_A受容体(GABA_A-R) subunitの変化
- B-8 てんかん動物の脳波並びに発作行動の同時モニター装置の開発
- C-19 遺伝性てんかんラット(IGER)の2つの異なる発作型(回転運動発作並びに全身性間代・強直けいれん発作)に対するゾニサミドの抗てんかん作用について
- D-22 遺伝性てんかんラット(IGER)海馬体における微少形成異常とてんかん原性について。II. IGERとそのsubstrainのIGER/wc並びにoriginal strainのICRにおける微少形成異常
- B-23 振動センサーを用いたてんかん発作モニターシステムの開発 : 遺伝性てんかんラット(IGER)の発作観察への応用
- 遺伝性てんかんラット(Ihara's genetically epileptic rat: IGER)の海馬みられるmicrodysgenesisとその遺伝様式について
- C57BL/6体外成熟卵子を用いた透明帯レーザー穿孔処理後における媒精濃度が体外受精成績にあたえる影響
- P2-60 カニクイザルを用いた卵巣組織自家移植に関する基礎的研究 : 若年女性がん患者のQOL向上を志向して(Group 41 生殖補助医療2,一般講演,第60回産科婦人科学会学術講演会)
- 体細胞クローンウシの作出および遺伝的同一性・発育相似性の検討
- ハイドロキシアパタイトコート基材が神経分化誘導に及ぼす影響の検討
- ハイドロキシアパタイト薄膜被覆ロータス型ポーラスステンレス鋼インプラントの作製
- ラット体外培養胚由来細胞株の分離とその性質
- ウサギ未成熟卵母細胞の体外培養法の検討
- C-34 遺伝性てんかんラット(IGER)脳のミクログリア動態について
- 体外培養系を用いた配偶子生産の可能性 (特集 ART FORUM '04)
- 超音波エコー画像診断法によるウサギの妊娠診断
- ウサギ胎盤で発現する新規の塩基性タンパク質をコードする遺伝子
- ウサギ精子頭部の卵細胞質内注入による受精と胚発生
- 外来遺伝子導入によるウシ胚性遺伝子の活性化における転写および翻訳時期の検討
- マウス初期胚におけるプロテオーム解析
- トランスジェニックマウスを用いた母性遺伝子プロモーター解析
- マウスES細胞(C57BL/6×129 ter)からの生殖細胞への分化誘導の検討
- 生殖細胞および初期胚における生殖腺特異的発現遺伝子(GSE)の発現および細胞内局在の解析
- マウス受精卵の第1及び第2分裂機構への rhophilin-2 遺伝子の関与
- マウス初期胚のゲノムDNAにおける bisulfite-sequencing 法を用いた5-メチル化シトシンの検出
- 哺乳類において卵から胚への移行を制御する翻訳機構
- マウス胚・配偶子の凍結保存技術
- マウス尾部細胞, ES細胞, IVF胚におけるOct-3/4遺伝子転写調節領域のCpGメチル化
- ウサギ二次卵胞の体外培養についての基礎的検討
- 実験動物における遺伝子導入 : "マウスへの遺伝子導入から系統確立まで"
- Cryotop によるウサギ未受精卵の凍結保存とその後の受精能力の検討
- 305 トランスジェニックラットモデルにおける皮質骨の生体力学的特性評価
- 受精と配偶子操作(含クローン) (特集 21世紀の再生医療最先端 1.感覚器・皮膚・粘膜,2.生殖器) -- (2.生殖器)
- 体細胞核移植におけるリプログラミング促進技術の開発 (特集 iPS細胞研究の最前線) -- (iPS細胞と生命機能(さきがけ課題研究))
- 再生医療 組織再生を目指した幹細胞研究の動向 (関節リウマチ(第2版)--寛解を目指す治療の新時代) -- (関節リウマチの治療研究の展望)
- 卵巣由来細胞の卵子形成能 (特集 再生医療の将来と産婦人科)
- 研究最前線 カニクイザルES細胞の研究展開
- ウサギ体外授精技術としての精子顕微注入法の開発
- P1-440 カニクイザル胚性幹細胞からの生殖細胞分化誘導(Group53 幹細胞,一般演題,第59回日本産科婦人科学会学術講演会)
- ES細胞から生殖細胞への分化 (特集 生殖医療から再生医療へ)
- P1-390 単為発生胚に由来するES細胞の樹立とその再生医療材料への応用の可能性(Group 53 不妊・不育VII,一般演題,講演要旨,第58回日本産科婦人科学会学術講演会)
- 一定飼育環境下における野生ニホンザルの体重と摂取エネルギーの季節変動
- 雌ニホンザルを用いた動脈硬化作成実験とエストロゲンの抗動脈硬化作用に関する検討 - 血管内視鏡による検討, 第1報 -
- ニホンザル繁殖システムへの顕微受精の応用
- ニホンザル精子の凍結保存法
- オスニホンザルの非交尾期の視床下部-下垂体-精巣機能
- メスニホンザルの非交尾期の視床下部--下垂体-卵巣機能
- オスニホンザルにおける30分間隔による24時間内繰り返し強制保定採血が血中ホルモン値に及ぼす影響
- ニホンザルの非交尾期における誘起排卵と人工受精による人工繁殖の試み
- ニホンザル(Macaca fuscata)の排卵前後の血清LH動態
- ウシ精子の生死が顕微授精卵のMPF活性に及ぼす影響
- ウサギICSI (Intracytoplasmic Sperm Injection)におけるPiezo-ICSIの有用性の検討
- ウシ卵胞卵子の品質に影響する季節的要因
- エルトリエーターによる精巣組織からの精子細胞の分離と回収
- ウシ顕微受精胚の活性化による発生率について
- 卵巣卵胞内顆粒膜細胞特異的発現を示すFSHreceptor転写領域の解析
- 患者自身の血清あるいはドナー卵胞液を添加した培養液で体外成熟を行ったヒト未成熟卵胞卵子の体外受精後の発育能
- JAX|MICE C57BL/6Jマウスを用いた体外受精および初期胚ガラス化保存の基礎的検討
- マウス未受精卵及び1細胞期胚で発現する遺伝子群の同定 : 胚性遺伝子の活性化に伴う遺伝子発現の挙動
- 生殖補助医療の将来 (あゆみ 生殖補助医療)
- エンブリオロジストの技術最前線 : 5)実験動物における成熟卵子生産とヒトARTへの応用
- ゴールデンハムスター顕微授精胚発育に及ぼす遮光および抗酸化剤の影響
- ウサギ受精時の微小管形成に対する精子中心体の役割
- カニクイザル胚培養による胚盤胞生産とES細胞の樹立
- クローン技術の現状と課題 (第5土曜特集 生殖医療のすべて) -- (動物からヒトへの提言)
- ヒト型モデルとしてのサルにおける発生工学技術の利用
- マウス1細胞期胚で発現する胚性由来遺伝子クローニングとその機能解析
- 経精巣遺伝子導入法により得られたトランスジェニックマウスの解析
- ブタ精子由来の卵子活性化因子の検討
- 動物:凍結細胞動物園 (特集 生物・環境タイムカプセル2001計画) -- (生物試料の凍結保存)
- ウサギとウシにおける精子頭部顕微注入による体外受精
- ラットの性周期および妊娠期における尿中総ポリアミン値の動態
- 再生医療からみた生殖医療の将来展望 (特集 生殖医療の今日的革新--ノーベル賞に輝いた体外受精の貢献と課題)
- iPS細胞と生殖医療 (今月の臨床 ART--いま何が問題か) -- (生殖医学・医療のトピックス)
- 有害駆除が野生ニホンザルの個体群に与える影響: 捕獲記録の分析
- トリコスタチンA処理がウサギ体細胞核移植胚の着床前発生に及ぼす影響
- 熱伝導性の高い材質による前胞状卵胞の超急速凍結
- 14.新しく開発されたてんかん発作モニターシステムによる遺伝性てんかんラット (IGER) の行動観察
- 幹細胞を用いた卵子の再生 (今月の臨床 卵子の加齢 : 避けては通れないARTの課題) -- (加齢対策基礎研究)
- 胚性幹細胞を用いた生殖細胞研究の展望と課題
- 動物 : 凍結細胞動物園