原子吸光光度法を用いた漢薬「石膏」の溶出量に関する研究

概要

論文の詳細を見る
「石膏」は『神農本草経』の上品に「石膏味辛微寒主中風寒熱心下逆気驚喘口乾舌焦不能息腹中堅痛除邪鬼産乳金瘡」と記載されている漢薬で, 古来, 清熱, 止渇, 鎮咳薬として白虎加人参湯, 麻杏甘石湯, 釣藤散などの処方に配合される。石膏の基源にっいては日本及び中国で, 天然の含水硫酸カルシウム(CaSO_4・2H_20)であると規定されている。漢方医学において石膏は, 大黄, 附子と共にしばしば"さじ加減"して用いられる代表的な生薬の一つで, 漢方処方では通常5〜10gを配合すると記載されているが, 実際の臨床では, 患者の熱感や口渇の程度を指標として使用量を増減することが多い。塩谷らは加減一陰煎加亀板膠に, 新たに石膏を5〜20g加えることにより, 成人型アトピー性皮膚炎において著効が得られたことを報告している。一方, これまで石膏は水に対して難溶であることから, その薬理効果が疑問視されてきた。石膏の水への溶解性に関してはこれまで, 硫酸イオンを指標とした研究5)や, ICP発光分析による無機成分の溶出挙動に関する研究が報告されている。
和漢医薬学会の論文
2005-02-20