マウス体細胞核移植胚における転写因子Cdx2ならびにOct3/4の発現解析
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概要
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体細胞核移植(somatic cell nuclear transfer : SCNT)技術は、1997 年のWakayama らによる報告以来、様々な動物種においてクローン個体の作出を実現してきたが、その作出効率は未だに低率である。マウスにおいては、核移植胚のおよそ半分は着床するが、出生まで至るものはきわめて少ない。着床の成立と維持における胚側の要素として、栄養外胚葉系譜への分化は必須の過程であるが、最近、マウス栄養芽細胞で転写因子、Caudal-related homeobox 2 (Cdx2)が発現し、栄養外胚葉系譜の誘導で重要な役割を果たしていることが報告された。さらに、Cdx2 は、初期胚発生過程でOct3/4 と互いに制御関係にあることが示された。そこで本研究では、着床、胎盤形成の基点となる栄養外胚葉で発現するCdx2 に着目し、Cdx2 とその制御関係にあるOct3/4 について、マウスSCNT胚と顕微授精(ICSI)胚での発現解析を行った。その結果、SCNT胚において、Cdx2 は発現しているものの、ICSI 胚に比べ転写量は約半分と低かった。このことから、Cdx2 の発現の低下が、その後の栄養外胚葉系譜での遺伝子発現に影響し、着床の成立と維持に障害をもたらしている可能性が示唆された。
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