<Original Papers>凍結されたウシ骨髄組織からの効率的な細胞核回収方法の開発
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概要
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Departmental Bulletin Paper[要約] 本研究では、マンモス骨髄組織からの効率的な細胞核の回収方法を開発するために、組織の状態が類似したウシ凍結骨髄組織からの効率的な細胞核の回収方法の開発を試みた。さらに、回収方法の有用性を検討するために、回収したウシ凍結骨髄組織由来細胞核をマウス除核未受精卵子に注入し、回収された核の生物学的特性の有無を検討した。 初めに、凍結保存されたウシ骨髄組織からの効率的な細胞核の回収方法の開発を試みた。ウシ骨髄組織から細胞核を回収する際に、Collagenase 処理を行う事によって、細胞核の回収量が有意に向上した。次に、回収したウシ凍結骨髄組織由来ドナー細胞核をマウス除核未受精卵子へ注入し、再構築卵子の早期染色体凝集および前核様構造物の確認を行った。その結果、早期染色体凝集ならびに前核様構造物の形成は観察されなかったものの、細胞核の注入直後に観察されたPropidium iodide による強い赤色蛍光が、細胞核注入後7 時間ではほぼ消失していた事から、生物学的特性は保持されていると考えられた。以上の結果より、生物学的特性を保持した状態の細胞核を大量に回収できる新しい細胞核の回収方法を開発する事に成功した。 [Abstract] We tried to develop the effective nuclei recovery method from cryopreserved cattle bone marrow tissues for the development of effective nuclei recovery method from mammoth bone marrow tissues. In addition, we studied whether its cell nuclei still kept their biological characteristics by injecting recovered nuclei into mouse enucleated matured oocytes. First, we tried to develop the effective nuclei recovery method from cryopreserved cattle bone marrow tissues. The amount of recovered cell nuclei was significantly increased by using collagenase treatment. Subsequently, we tried to inject recovered cell nuclei into mouse enucleated matured oocytes and checked for premature chromatin condensation and pronuclear-like structure. As a result, there was no oocyte with premature chromatin condensation and pronuclear-like structure, but because the highly-red fluorescence which was observed shortly after injection nearly disappeared after 7 hours, their cell nuclei were shown to keep biological characteristics. Based on these results, our method was shown to be effective in mass recovery of cell nuclei that kept their biological characteristics.
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