耐凍剤を用いずに凍結されたマウス骨髄組織に由来する細胞を用いた核移植に関する研究
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概要
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Departmental Bulletin Paper本研究では、マウスの耐凍剤を用いずに凍結された骨髄組織から回収された細胞を用いて体細胞核移植(somatic cell nuclear transfer; SCNT)を行い、永久凍土中から発見される動物遺物のような、耐凍剤を用いずに非常に長期間、不安定な環境下で凍結保存された生物の細胞をSCNT に用いることが可能か否か検討した。まず、耐凍剤を用いずに凍結保存されたマウスの骨髄細胞の回収と、DNA の断片化状態を確認した。回収された骨髄細胞をHoechst 33342 で染色し観察したところ、核の存在が確認された。コメットアッセイ及びフローサイトメトリーの結果から、耐凍剤を用いずに凍結保存された骨髄細胞では、多くの細胞のDNA が断片化していることが確認された。次に、回収した骨髄細胞を、核ドナー細胞としてSCNT に用いた。その結果、マウス新鮮骨髄細胞および−80℃凍結骨髄細胞を用いた再構築卵子が、胚盤胞期にまで発生した(16.9%、及び1.9%)。以上の結果より、耐凍剤を用いずに凍結保存された骨髄細胞は、凍結保存されることにより、DNA に大きな障害を受けていることが確認されたが、SCNT の核ドナー細胞として利用できる可能性も示された。
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