マウス体細胞核移植由来再構築卵子における核内構造制御タンパク質の発現の解析
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概要
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体細胞核移植 (Somatic cell nuclear transfer: SCNT)技術は、1997年のWilmutらによる報告後、様々な動物種においてクローン個体の作出を実現してきたが、10余年を経た現在においてもその作出効率は未だに低率である。その原因を解明し作出効率を上げるための研究は活発に行われているが、その根本的な原因は不明なままである。近年、生細胞における分子の動態や、クロマチンの配置などの解析から、核内構造構築が転写活性などの遺伝子発現制御の基盤となることがわかってきた。そして最近、核内のアクチン関連タンパク質 (Arp) がクロマチン構造をする複合体に広く含まれており、Arpファミリータンパク質が細胞核、クロマチンの機能構造やダイナミクスに関与していることが示唆されている。本研究では、受精卵および核移植由来卵子において、クロマチンリモデリング因子SWR1複合体の構成因子であるArp4、Arp6、SWR1の局在を免疫組織化学的染色によって解析した。その結果、受精卵および核移植由来卵で、クロマチン構造に違いが見られた領域でのArp4およびSWR1の発現パターンが異なっていた。このことから、クロマチン配置の相違、あるいは核内構造制御タンパク質の局在パターンが核移植由来卵子での核の不適切なリプログラミングを反映している可能性が示唆された。
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